渤海湾経済一体化という理念がずっと前に出されたものの、進展の速度が遅いものです。天津経済技術開発区、濱海新区管理委員会の皮黔生主任は「渤海湾地区の範囲は広く、連携が強固でなかったため、長い間、経済の中心地が形成されませんでした。濱海新区は深センや上海開発区の経験を鑑みにして、互いに補充できる産業経済構造を確立し、渤海湾経済の中で牽引車として、この地域の経済中心地に発展していく計画です。これは長い努力が必要だと思います」として、次のように述べました。

　「天津地区全体の市場環境は上海および浦東新区に及びません。北京や天津、河北地域、渤海湾地域の発展を促す仕組みを確立する必要があります」と語りました。

　濱海新区設立された当初、外資系製造業を重点とすると同時に、天津の元の工業基礎を濱海新区に移転し、工業は重点に置かれました。統計によりますと、2005年、濱海新区の工業生産総額は3997億元に達し、上海浦東新区の4241億元より低かったのです。

　しかし、濱海新区の管理者は、工業だけに頼って、濱海新区が渤海湾地域の経済中心地になることはできないと認識しました。経済総量の面で急速な成長を収めたものの、サービス業は弱いものです。現在、上海浦東新区のサービス業の付加価値は地域生産総額の約50％を占めていますが、、濱海新区はわずか30％しか占めていません。

　濱海新区はこの面で改革を行っています。天津市政府は「銀行や、保険業などの金融機関が濱海新区で支社を設置し、本部が濱海新区にある金融機関も、他の支社を設置することを奨励しています。これによって、濱海新区のサービス業の質を向上させ、地域の産業構造を改善していく計画です。

　濱海新区の発展を注目している専門家は「濱海新区はその産業の優位性を十分に利用して、区域間の産業移転を速め、渤海湾地域の産業構造の改善を推進させるべきだ」と見ています。天津開発区管理委員会政策研究室の王愷さんは、協調の取れた渤海湾の発展計画について「まず、北京と天津の経済協力と相互補完を実現させるべきで、北京と天津の一体化を実現させる、その後、山東省や遼寧省などとの協力を行い、渤海湾地域の一体化を実現させ、地域経済を発展させる責任を負うべきだ」と語り、さらに

　「経済の中心地を形成するには、生産センター、商業貿易センター、港運センター、近代的サービスサンター、それに金融センターなどを備え、その均衡した発展が必要です」

　今年、濱海新区の重点は、トヨタ自動車の拡大、天津紡績パークなど10件の大型プロジェクトを実施すると同時に、北京と天津を結ぶライトレール、北京、天津、塘沽を結ぶ2本目の高速道路を建設します。皮黔生主任は「産業の共同発展によって、濱海新区は牽引車として、渤海湾地域全体の経済の急速な発展を促す役割を果していくことが出来るでしょう」として、さらに

　「濱海新区が牽引車として、天津とその周辺地区の経済的発展を促していきます。そして、周辺地区はさらに渤海湾地域の経済の発展を大いに促していくでしょう。そうすれば、我々の役割はますます大きくなるでしょう」と述べました。