東南の沿海の省、浙江省の中南部の山岳地帯に位置する麗水は、交通の便が悪かったのが主な原因で、全国でも経済発展を遂げている省の中もも遅れた地区でした。ところがここ数年、鉄道や高速道路などインフラ整備を急ぎ、恵まれた自然環境と数多くの無形文化財を生かして、観光業を重点に町おこしをした結果、経済も急速に発展しはじめました。
去年、麗水の輸出入総額は5億2千ドルで、そのうち、輸出額は4億4千ドルに達しており、2000年以来、25%の伸び率で成長しています。
麗水市対外貿易経済協力局の李衛良局長は、これについて、次のように話しています。
「麗水の輸出製品の95%は工業製品だ。その4割は紡績やアパレル、靴や革製品。そのほか、機械電気製品や日用品、玩具などもある。特徴としては、『華僑に支えられた経済』だ。麗水は、『華僑の里』と呼ばれ、麗水出身の華僑は20万人以上にのぼり、全世界の120ヵ国余りで暮らしている。これらの華僑が、外資の導入や輸出で大きな役割を果たしている。」
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麗水市対外貿易経済協力局の李衛良局長 |
麗水市対外貿易経済協力局の張建国副局長 |
陳文照さんの竹炭会社をたずねて・左は陳さん |
また、日本への輸出は、全体の5%ぐらいを占めており、農業製品と紡績製品が多いということです。麗水市管轄下の四つの県の自然環境は全国のトップテンにランクされているので、そのトップになった慶元県で生産されたシイタケをはじめとする農業製品が日本で人気があるそうです。2003年からの二年間、特派員として東京支局で働きましたが、近くのスーパーで、中国産のシイタケをよく買いました。詳しい生産地は書かれていなかったですが、おそらく故里のものだと思います。
2004年と2005年、麗水市政府は、地元の企業家を連れて日本を訪れました。外資を求め、輸出ルートを探り、協力の相手を探すのが目的でした。
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多くの竹炭関連製品 |
買い物客がよく来る |
東京で知り合った麗水市対外貿易経済協力局の張建国副局長と今回の取材で再会し、張副局長に日本訪問の成果について、「二回、日本に行って、交流活動を行った。いい効果をあげたと思う。日本の方との交流を通じて、とりあえず麗水のこと、特に投資の環境を知っていただいた。その後、麗水に視察に来た日本の企業家もいるし、地元と協力関係を結んだ日本の方もいた」と語りました。
ところで、いま、日本でもよく売れている竹炭の生産が注目されています。麗水管轄下の遂昌県では、いたるところで竹を栽培しています。タケノコがよく取れる一方、竹でつくられた入れ物や鳥かご、玩具が市場に出荷されています。そしてここ数年、特に竹と関連製品の開発と販売が盛んです。
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竹炭のキャラクター |
竹炭もいろいろ |
竹炭の歴史を語るコーナー |
代々炭を作っている陳文照さんは、先人たちの技術を受け継ぐ一方、研究所の力を借りて、竹炭を利用した様々な商品を開発しました。
陳文照さんの会社を訪ねました。会社は青い山に囲まれています。工場の隣に、竹炭製品の展示室があります。中に入りますと、竹炭を防臭剤として利用した衣服や布団、飾り物など、三百種類ぐらいの製品が並べられています。中には、日本語で商品名と説明文が書いてある「竹美人」という石鹸のセット製品もありました。買い物客やメディアで陳さんの竹炭を知り、竹炭に興味を持つようになった人がよく出入りしています。
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竹美人セット |
竹炭を防臭剤として作られた日用品が様々 |
陳文照さんは、内向的な性格で、普段余り喋らない人ですが、竹炭のことを話し出しますと、止まりません。今、遂昌県には、53社の竹炭の会社があり、竹炭協会も発足して、陳さんは会長をつとめています。竹炭を遂昌県の代表的な製品にさせるのが今一番やりたいことだそうです。
陳さんの会社は、竹炭や除菌作用のある竹酢液など人気商品を生産すると同時に、協力関係にある大学の実験室で、竹炭の煎餅など新しい製品の開発もすすめています。さらに、竹炭を使って汚染処理装置を開発できないか、研究中です。急速に発展しつつある中国は、環境汚染問題という大きな課題を抱えています。その対策に活用できないか、竹炭の働きが期待されています。
陳さんの竹炭製品はすでに日本の市場に進出しており、年に一回か二回日本を訪れているそうです。
竹炭のほかにも、伝統的な産業である緑茶作りに加えて、最近は、お茶作り、米粒の大きさの菊の花で作った「菊米茶」、さつま芋で作ったお菓子なども盛んになっています。 (担当:藍暁芹)
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