経済が急速に発展する中国。特に沿海地区はさらに勢いよく成長しています。中でも上海の南にある浙江省は、全国でもトップを走っており、2005年の経済力は全省で4位でした。ただ、同じ省の中でも地方によって、経済発展が早くやってきた地域と遅れた地域があります。そこで、先日、私の故郷、浙江省麗水市を取材してきました。
麗水市は、その名の通り、山々が美しく、水も綺麗な町。浙江省の中南部の山岳地帯にあります。そして、ここ5年で、経済発展の波が一気に押し寄せてきた町でもあります。
かつて交通の便はあまりよくありませんでした。90年代初め、私の大学時代は、故郷に帰るとき、北京からまず28時間、汽車に乗り、そしてまた3時間もバスに乗らなければなりませんでした。それが今は、まず飛行機で、省都の杭州、あるいは近くの温州まで行って、そこから杭州ならば高速バスで3時間、温州からなら、1時間半しかかかりません。
麗水市はつい最近まで、いわゆる『経済発展の遅れた』ところの一つでした。しかし2000年から一気に発展の波がやってきたのです。その年、行政区画の変更があり、元の麗水地区が麗水"市"に変わりました。つまり、昇格したということです。これにより、麗水市の面積は17300平方キロ、人口は250万人ぐらいに増えました。それ以来、地方政府は三つの方針によって、麗水市を発展させてきました。
その三つの方針とは、「環境保護で市をアピールし、工業で市を発展させ、緑で市を興す」というものです。これについて、麗水市の沈仁康副市長は、「都市化を進める過程で、環境保護と矛盾してくる部分が出てくる。麗水は自然に恵まれ、全国でもトップクラスの良い自然環境を有する。それを保護し、生かさなければならない。また、森林資源を活かす一方、造林とその環境保護にも力をいれている」と話しています。
(沈仁康副市長が2004年東京の交流会で)
麗水は恵まれた自然環境と悠久の歴史を活かし、今、観光業を中心とした街づくりをしています。中国のシェークスピアと呼ばれる湯顕祖など歴史に名を残す有名人のゆかりの地となっており、文化の香り深い地域でもあります。麗水市下の竜泉では、焼き物の「青磁」や剣の製作が有名で、青田県は「華僑の郷」、遂昌県では、4000年以上前の文化遺跡が発見されました。そして、慶元県は空気の質が中国トップで、"しいたけの故郷"とも呼ばれています。そこで、これらの観光資源を生かすべく、観光インフラの建設やお茶作り、竹炭などの地場産業に力を入れています。
このような地元の優位性を活かすだけでなく、海外にでかけ、見聞を広めつつ、外資誘致をしています。2004年、私が東京支局にいたとき、沈仁康副市長をはじめとする市関係者、企業家ら40人の一行と会う機会がありました。沈仁康副市長は四十代で、ハンサムな方でした。一行は日本企業に対する誘致にやってきたのです。自然環境のすばらしい麗水にいる沈副市長は、麗水のことを誇りに思っていますが、日本に行った時には、日本の自然環境のよさに驚き、まだ自分達の取り組みが十分でないと感じたそうです。また、日本人の勤勉さと秩序があるところも、印象深かったといいます。
ここ数年間で、麗水も大きく変わりました。道路整備が進み、マンションが多く建てられました。住宅の値段も上昇し、5年間で倍くらいになりました。現在では一平米当たり5800元ぐらい(日本円で約8万円)です。街には、店舗が増え、不動産の仲介業者も多く見るようになりました。街を走るマイカーも色とりどりです。(続く)(文:藍暁芹)
(PS:2004年6月の報道を参考してください。
故里から来たみなさん ーー浙江省麗水市「投資環境&企業交流セミナー」が東京で開催
http://jp.chinabroadcast.cn/1/2004/06/28/1@19575.htm
http://jp.chinabroadcast.cn/1/2004/06/28/1@19589.htm)
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