6月1日は国際児童デー、中国の子供の日でもあります。日本のように鯉のぼりを上げる風習はないのですが、親から色々プレゼントをもらい、公園や遊園地などに行って楽しく過ごすのは、世界のどこでも共通ではないでしょうか。
しかし、5月12日に発生したマグニチュード8.0の四川大地震により、震源地付近では、多くの学校が倒壊し、大勢の生徒たちは、教科書やボールペンを手に持ったまま、永遠の眠りにつきました。この子供の日に、大地震で亡くなった子供たちのことを思うと、心が痛みます。天国でいつまでも楽しく過ごせるよう、ご冥福をお祈りします。
さて、北京では、最近毎日の平均気温が22度を超えるなど、本格的な夏になったと発表されました。真夏に入った今、春を振り返れば、ちょっと恋しくなります。今週の番組では、春の名残を惜しみながら、春の風物詩とされる凧揚げを歌う曲を特集をしてお届けしています。
春先に郊外に行って新緑を眺め、凧を揚げることは、中国の民間では、古くから伝わる風習であり、中国式の「レジャー」活動とも言えることでしょう。凧の起源は紀元前400年の頃、中国の春秋戦国時代に、「大工の神様」と呼ばれる魯班にさかのぼると伝えられています。普通は竹ヒゴと紙で作ります。デザインは、色鮮やかで、鳥、蝶々、昆虫、人物等々色々なものが取上げられ、非常に豊富多彩です。
凧づくりの町として有名なのは、中国では、北京、天津、山東省の維坊などが挙げられます。そのうち、特に維坊の凧はテーマが様々で、作り方も絵付も精巧を極め、郷土色豊かで、生活の息吹きにも富んでいます。1984年、初めての凧祭りが開催されてから、毎年開かれており、30以上の国と地域の代表が「世界凧の都」とたたえられている維坊で凧祭りに参加しています。また、国際凧連合会の本部がこの維坊の凧博物館に設けられています。リスナーの皆さんも、チャンスがあれば、ぜひ一度この維坊に足を運び、日本の凧揚げと全く違う中国凧の風情を楽しんでいただきたいと思います。
中国各地で伝わっている民謡、「凧揚げ」を聴いていますと、凧揚げを楽しむ主人公が、それぞれ、若い女の子同士とか、恋人同士で凧を揚げるということは、私にはちょっと意外でした。やはり今と比べて、昔、凧揚げというのは、若い人達の中で絶大な人気があり、優雅で、大勢の人が楽しむものだったんだなあと、感じます。現代生活に生きる私たちは、なんかそういう心の余裕がなくなり、凧のマニア以外に、凧揚げをする若い人にはめったにお見にかかれなくなりました。春先になると、空を自在に飛ぶ凧に興味を惹かれますが、その糸を操っている人が、さびしい顔をしているおじいさんという場合が多く、なんともいえない気持ちになります。自然を楽しみ、人間関係を作る重要な場とされていた凧揚げですが、今後、若い人達の間でも復活することを願っています。
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