4月の下旬、私は、CRI取材団の一員として、貴州省を回ってきました。貴州省は、中国の西南部にあり、山の国です。中国の56の少数民族の内、貴州には49の少数民族が暮らしています。このうち、ブイ族と水族の95%、苗族とトン族の50%が、貴州省に居住しています。一週間の間、私たちは、苗族、トン族、ブイ族の合わせて8ヶ所の村を訪れ、少数民族の風土人情をたっぷり味わうとともに、ここの歌に魅力されました。ここの少数民族の歌は、簡単な楽器しか用いずみんなの合唱で歌われるのですが、声が澄み切って心の奥まで綺麗にしてくれたような感じを受けました。
少数民族ならば皆歌も歌えるし、踊りも踊れるといわれていますが、現地には、『トン族の歌、苗族の踊り』という言い伝えがあり、流れています。これは、トン族の歌と苗族の舞踊の種類の多さを示しています。
歌には生活ぶりや、男女の恋愛、昔の物語、そして美徳の勧誘などがあり、内容が豊かです。歌の形式は、多くのパートからなりますけど、指揮者もないまま、自然に合わせてハーモニーを作ります。
トン族は、自分の文字を持たず、民族の歴史、社会知識、生活ぶり、倫理や道徳などを歌で記録し、伝えてきました。しかも、歌には、楽譜もないことから、すべて口から口へと伝えられてきました。子ともたちは、話せるようになると、歌の学習を始め、トン族の歌や、トン族の文化を受け継いで行きます。
歴史と自然の原因で、トン族が居住している地区は、今でも経済が遅れており、大変つらい農作業が続いています。それだけに、山登りも、休憩の時間も、帰りの道も、あらゆる時間に、歌が伴います。トン族の諺には、『ご飯は体を養い、歌は心を養う』という言葉があり、これは、トン族の音楽に対する気持ちを表すものです。トン族の人々は、歌で大自然への愛、生活への感謝を表します。歌は、彼らの精神的なかて依頼となり、彼らの夢や信仰を託しています。そして、彼らは、歌で自分の民族の歴史を記録し、そして子孫に伝えてゆきます。(文章:李軼豪)
|