今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。
今日のこの時間は明代の本「ベン京知異記」から「がま退治」、そして、清の本「聊斎志異」から「空に帰った竜」というお話をご紹介しましょう。
まずは明代の本「ベン京知異記」から「がま退治」です。
「がま退治」(書生不畏蠱)
宋の時代、福建のしょう州に一人の肝っ玉の太い書生がいた。書生は言う。
「この世に怖いものなどはない。ただ人が勝手に怖がっているだけで、そのものは何も怖がることはないのだ」
これを聞いた友だちは、「何を空威張りしている」とあざ笑うので、書生は自分の言ったのが正しいのをはっきり示せることが起こらないかと焦っていた。
それから数日後、書生は数人の友だちと遊びに出かけたところ、前のほうを歩いていた人々が、何か化け物でも見たような驚き声を出したので「なんだ?どうした?」と足を速め、その場にきた。すると道端に、きれいな絹布の包みが置いてあった。人々は怖い顔をし、この包みに近づこうとしない。
実は地元ではこんなことが言われていた。それは、ある妖術使いがいて、家でがまガエルを飼い、このがまガエルを人に飲み込ませてしまい、がまガエルはその人の五臓六腑を食べてその人を死なせる。そして、その人の持ち物を持っていくという。それに、がまガエルは金貨や銀貨と一緒に絹布の包みに入れられ、いつも道端においてあり、それを人が拾い持ち帰るのを待っているという。
こうして人々は、わいわいがやがや騒ぎ、誰かがこのことを役所に届け出ろといっていると、かの書生は何を思ったか、前に出てしゃがみ、その包みを開け始めた。これに野次馬が恐る恐る近寄り、離れたところから包みの中身を見ている。
で、包みの中からは案の定、何反かの絹と三つの銀塊、それに紙箱に入った二匹のがまガエルが出てきた。
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