こちら竜だが、こんなところに長くいるとまたとんでもないことに出くわすと、必死になって池から飛び離れようとする。もちろんいくらか元気が出てきたので、今度はと力を振り絞って飛んだが、残念なことに宙に一尺は飛んだかと思うと、また池に落ちた。こうして竜は池で三日間頑張ったが、ダメ。竜はくたくたになり、池のほとりで死んだように横になっていた。
しばらくすると、空に雨雲が立ち込め、瞬く間に暗くなり、大雨が降り出した。すると、竜は何かの力を得たのか、からだをだんだんと小さくして小さな蛇にかわり、池の近くの草むらに入ってしまった。
さて、数日後、何人かの村人が山にあるお寺におまいりにきた。村人たちが境内に入ると、ある屋根の上からなんと黄色いレンガか落ちてきた。
「なんだ?なんだ?」と村人たちが首をかしげていると、そのレンガには一匹の蛇が回りついていて、それは小指ほどの太さの小さな蛇だった。
「あれ?レンガに小さな蛇がのってるぞ?」
「どれどれ?」とみんなが不思議がってみていると、不意に空模様がかわり、モクモクと黒雲が立ち込め、雷が鳴り強い風が吹き始めた。
「おお。これはいかん」と村人たちはさっそく建物の下に入った。そのときものすごい雷の音がして境内に光が落ちた。これに雨宿りしていた村人たちはびっくり仰天。じゃがみこんだり、中には腰を抜かすものもいた。
このとき、レンガの上の蛇の体が光り始め、不意にどこかへ飛んでいってしまった。
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