その数日後、一人の農婦が野良仕事をしていると、近くのあぜ道に置いてある昼飯を入れた壷がひとりでにころがった。
「あれ?どうしたのかね?」と農婦はあぜ道のほうへいくと、小さな光った蛇が壷の中から這い出てきた。
「あれまあ。この蛇はお腹がすいたんだろうね」とこころのやさしい農婦が黙ってそれを見ていると、急に風が吹き出し、その蛇は不意に空に舞い上がり、見る見る間に大きくなって竜となった。これに農婦はびっくりして気を失ってしまった。
どれぐらいたっただろう。気がついた農婦は怖くなり、鎌をもって、食べ物を蛇に食われて空になった壷を拾おうとしたが、壷はかなり重い。
「あれまあ。どうしたんだべ?」と農婦は首をかしげて壷の中をみると、中にはなんと大きなうろこが幾つも入っていた。これに驚いた農婦は壷をそばの草むらに隠して急ぎ足で家に帰り、山から戻ってきたばかりの夫にこのことをくわしく話した。
「なんだと。ほんとか?」と夫が言うので農婦は夫を連れ、かの草むらに来て壷を見せると、なんと壷に入っているのはうろこではなく、ピカピカ光る銀貨だったわい。
へえ!竜が農婦の飯を食ったので、そのお礼として銀貨をくれたんでしょうかね?
そろそろ時間のようです。来週またお会いいたしましょう。
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