今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。
この時間は、清代の著「聊斎志異」から「生き返った男」、そして「太平広記」から「石枕」と「秋の夜の出来事」というお話をご紹介しましょう。
まず最初は「聊斎志異」から「生き返った男」
「生き返った男」(湯公)
湯聘という進士が重い病にかかり、自分でもまもなくあの世行きだと感じた。すると、足のほうから何か温かいものがだんだんと上がってきて、腰まで来たとき、両足がなくなったようになり、胸のところまで上がってきたとき、心の臓の動きが止まりそうになった。そのとき、幼いころ起きたことや、それまできれいに忘れていた多くのことが頭に浮かんできた。そして良いことをした思い出にはすっきりした気持ちが伴い、過ちや悪いことをした思い出には悔しさと疚しさが付いてきた。
七歳か八歳のときは、樹に登って鳥の巣にいる雛を取っては好きなように殺して遊び、それ以外にもかなりの悪をしたものだ。このことだけでも、湯聘はしばらくは息が苦しくなり、そのうちに気が静まってきたかと思うと、かの暖かいものが喉元を通った。そして頭に移ったかと思うと、考えが鈍くなり、呆けてきたようだった。そのうちにかの暖かいものは頭の天辺から抜けるように出て行った。そのとき、自分の魂だろうか、湯聘はそれが体を離れたような気がした。現にものがみえる自分が、徐々に宙に浮かんでいく。
そして屋敷の上に浮んだとき、どこからか二人の大男がやってきて、湯聘にすその中に入れという。これに湯聘がとまどっていると、一人の大男が右腕を上げた。すると湯聘はそのすその中へ吸い込まれていった。中は暗く、ほかに多くの魂がいるらしく、暑い上に息苦しかった。そこで湯聘は、「南無阿弥陀仏」と三回唱えると、中から外へ吹き飛ばされた。これ見て大男が湯聘を手でつまみ取ろうとしたが取れず、、湯聘は知らないところにふわりと落ちた。
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