一人になった湯聘は、これから自分は天国に行くのか、地獄に落ちるのかもわからない。そこでうろうろしていると、向こうにお坊さんが禅を組んでいるのが見えた。そこでお坊さんに近寄り、勇気を出してきいてみた。
「あのう。お聞きしますが、わたしはこれからどこへ行くのでしょうか?」
これを聞いたお坊さんは、目をつぶったままで答える。
「あんたは学問がある人ゆえ、人の功名を司る文昌帝君と孔子様のところへいって、調べてもらいなさい。そうすればどこへ行くかがわかるじゃろう」
そこで湯聘はどっちに行けばいいのかを聞いた後、お礼を言ってその場を離れた。
さて、湯聘はやっとのことで孔子廟にきた。中に入るとなんと孔子は、文昌帝君のところに行けと言うので、そこを離れた。しばらく行くと帝王の住むような立派な楼閣が見えたので、これがそうだろうと湯聘が中に入る。すると、真ん中の殿堂の中に立派ななりをしたお人が座っていたので、これが文昌帝君に間違いないと、湯聘は丁寧にお辞儀してからここに来た理由を言った。すると文昌帝君が答えた。
「お前は生前、良い行いが悪い行いより多いので、まだ生きられるはずじゃが、お前は病のため体が腐ってしまっておる。これは観音菩薩に頼むしかないのう」
そこで湯聘が、どう行けば観音様にお会いできるのかと聞くので文昌帝君は行く先を教えてくれた。こうして湯聘 はお礼をいってそこを離れた。しばらく行くと大きな竹林が見えた。
「この中だろう」と湯聘は竹林に入ると細い道があった。そこで歩いていくと綺麗な殿堂が見えた。その横に大きな庭があり、見ると、生きていたときに絵でみた観音さまが、真ん中の大きな蓮の上に静かに座っていた。そこで前へ出て跪き、ここへ来た理由と文昌帝君が言ったことを申し上げた。しかし、観音さまは困った顔をして、湯聘を人間世界に戻すのは難しいという。
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