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今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。
今日は、昔の本「太平広記」から「人とお化け」、それに「南皋(こう)筆記」から「石の鏡」というお話をご紹介いたしましょう。
はじめは「太平広記」から「人とお化け」です。
「人とお化け」
頴陽に住む蔡四は、家計が豊かな読書人だった。天宝元年、蔡四は家族と共に陳留郡に屋敷を構えて暮らしていた。
ある日、蔡四が書斎で本を読んでいると、怖い顔した男が窓から顔を出した。
これに蔡四はびっくり。
「な、なんだ?お前は!?」
「ひひひ。びっくりさせてすみませんな。わしは実はこの世のものではないんだ」
「な、なんだ?!」
「お化けですよ。安心しなさい。あんたには悪いことはしないから」
「あ、あたりまえだ。私は悪いこともしてないし、それにお前と始めて会うんだからな」
「そう、そう。わしは王大というものでな。ただ、あんたが詩を作っているのを見にきただけだよ」
「え?詩を作っているのを見にきた?」
「ああ。邪魔しないから詩を作っていないさいよ」
という具合に、このお化けは蔡四には何の害も加えない。こうして次の日から蔡四が一人でいるときは、このお化けが決まって現れた。はじめは怖かった蔡四も、この小柄なお化けになれてきて、時には話し込み、時には冗談を言うまでになった。それに蔡四は、自分以外の人間にはこのお化けは見えないのが分かり、自分がお化けと付き合っていることなどは家族や屋敷のものには黙っていた。
で、ある日、蔡四がきく。
「ちょっと聞くが。お化けは、みんなお前のようなのかい?」
これにお化けが笑いながら答える。
「ははは!お化けもいろいろいてね。とても大きいのや、わしみたいに小さいのがいるんだ。もちろん、人に悪いことをする奴もいれば、わしのようにお人好しのお化けもいるけどね」