いつのことかわからん。怠け者の漁夫がいた。彼はいつも小さな網だけで漁に出ていたので、網にかかる魚はなく、毎日がっかりして戻ってきた。これを見た隣が、「あんたの網は小さすぎる。それじゃあ、魚が獲れるわけないよ。網を大きくしなさい」という。
そこで漁夫は、いやいやながら大き目の網を織り、翌々日に海へ出た。するとこの日は、たくさんの魚が網にかかったので、漁夫は歌を口ずさみながら、岸に戻ってきた。
そしてその夜、漁夫は考えた。
「そうか。魚が多く獲れるのは網が大きかっただからか。よし、もっと大きな網を張れば、もっと多くの魚が獲れるわけだな。よし!わかった!」
こうしてこの漁夫は翌日から海には出ず、家で網を織り始め、それが数日も続き、とうとうとても大きい網を織り終わり、それは隣が見て驚くほどだった。
「どうしたんだい?そんな馬鹿でかい網なんか織って?」
「いいんだよ。これでいいんだ」と漁夫は隣の話しも聞かずに、苦労してその網を船に載せ、この日は久しぶりに海に出た。こうして、先日魚がたくさん獲れたところで網を張り始めた。しかし、網が大きすぎてかなり時間がかかり、やっとそれを張ることが出来た。
「はは!これで今日はこの船いっぱいに魚を持ち帰ることが出来るぞ」と漁夫はホクホク顔で魚が網にかかるのを待っていた。
やがて、漁夫が網を引上げ始めると、すごい手ごたえで、いつものように引上げられない。
「はっはっはっは!これはすごいや。きっとたくさんの魚がかかったにちがいない」と漁夫は必死で網を引上げる。ところが網にかかった魚が大きいのか、大きすぎるのか、網は引上げられるどころが、船が網に引っ張られていくようになった。そしてとうとう、船がひっくり返り、なんと引き込まれる網と共に沈んでいったワイ。え?漁夫?かわいそうにねえ!!
そろそろ時間です。では来週、またお会いいたしましょう。
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