さて、次の日、気を失っている妻をおいて陶さんは、家にあるうまそうなものを全部篭に入れ、昨夜来た道をたどって行った。そしてあのものを踏んだのはここら辺だなあと思い、その道端に板を置き、線香を火を点け、持ってきたものを板の上に供えた。
「これはこれは、どなた様か知りませんが。昨夜はどうもすみませんでした。これからは明かりを持って出かけますので、夜になっても見えるでござりましょう。昨夜、あなたさまに言われたとおり、こうして家にある美味しいものを全部持ってきましたので、どうか召し上がりください。どうか、昨夜の私めの不届きをお許しください」
こうして陶さんは、何度も、何度も叩頭した。そして何かに気付いたように「それから、私の妻を帰してください。あのままでは困りますので」という。
こうして陶さんはそこにしばらくいたが、そのうちに自分はいったい何を踏みつけたのか知りたくなった。そこで恐る恐るそこらを探し始めたが、やがて近くの道端に半分踏み潰された瓜を見つけた。
「あれ?わしが踏みつけたのはこれか?」とその瓜には触らず、お辞儀してから家に戻った。するとそれまで床で気を失ったいた妻が目を醒まし、家の中がざんざんなのをみて、陶さんに聞く。
「あら!お前さん、これはいったいどういうことなの?」とね!!
そろそろ時間のようです。来週またお会いいたしましょう。
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