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キツネの居候
   2007-09-18 14:49:55    cri

 今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。

 この時間は、「キツネの居候」と「蛇の仇討ち」という昔の小話をご紹介しましょう。

 はじめは、「キツネの居候」です。

 いつのいことだっただろう。ある商人の家の後庭に誰も住まない部屋があった。そして何時からかわからんが、この部屋に一匹のキツネが住みついてしまった。が、このキツネ、悪さはしない。それに人にはキツネの姿が見えなく、ただ、声をかけると、キツネはこれに答えてくれる。

 実は、この家の主と家族は、数年前にここに移り住んでからというもの、知恵をいかし、苦労したので町で開いた店は繁盛し、家計は良くなり、いい暮らしを送るようになった。

 すると、面白いうわさが広がった。それは、この家が豊かになったのは、キツネが住み込んだおかげだという。

 ところで、この家のくに辺さんという男が住んでいた。辺さんは、このうわさを信じこみ、自分もそのキツネにあってなんとか金持ちになろうと思い、翌日、この家を訪ねてキツネに会わせてくれと主に頼んだ。

 「どうだい?わたしにもいい暮らしをさせてくださいよ。あんただけがうまい汁を吸うというのは、不公平じゃないか?」

 「なにをいいなさる。私の商いがうまく行ったのは、すべて私と家のものが頑張ったからですよ。うちの居候のキツネとは関係ない」

 「なにいってんですか。私のうちにもあんたのキツネのような居候がいれば、今頃はあんたより豊かになっているよ」

 「あんたは、ほんとうにつまらんうわさを信じるんだねえ」

 「あたりまえだ!人がうまい汁を吸ったのを黙ってみている馬鹿はいないよ」

 「なんと、口の悪い人だね」

 「なんでもいいから、そのキツネの居候に会わして下さいな」

 これに商人もあきれてしまい、こんな人間を相手にしていたら、こちらが狂ってしまうと思った。

 「でも、言っておきますが、うちの居候は姿が見えないのだよ」

 「ええ?ああそういう話だったな。金が入るのなら、化け物だって私は遠慮しませんからね」

 「やれやれ。じゃあいいでしょう。裏庭の部屋に自分で行きなさい。そして居候さんと声をかければ、姿は見えないが、声だけは返ってきますから」

 「あいよ」ということになり、辺さんは裏庭にまっすぐ。みるとそれは一目で誰も住んでいないことがわかるという小屋で、中は薄暗い。これをみて辺さんはいくらか気味悪くおもったが、ここまで来て怖気づくわけにはいかないと、勇気を出して、声をかけてみた。

 「あのう、居候さん!居候さん。あれ?返事がないぞ」

 そこで辺さんは小屋の戸の前に立った。

 「居候さん!居候さんはおられますかな?返事してくださいよ。え?私は近所に住む辺というもんですよ。あれ?誰もいないのかな?居候は留守なのかな?」

 辺さんが首をかしげていると、「なんだい?おいらに何か用かい?」という声が不意に聞こえてきた。これに辺さんはいくらかびっくりしたが、落ち着け!落ち着くんだよ!と自分に言い聞かせながら答えた。

 「これは、これは、居候のキツネさん。はじめまして!私は近所に住む辺というものでね」

 「なんだい?人が昼寝してるところを・・ったくもう!!」

 「これはどうも、お休みのところだとは気が付きませんでした」

 「まあ、いいや。で、辺さんとかいったね」

 「そのとうりで」

 「その辺さんが、この貧乏なおいらに何の用だね」

 「実は、あんたがここに住みついたおかげで、この家はずいぶんと金が入ったと聞きましてな」

 「へえ?おいらがこの家に住みついたから、この家に金が入っただと?」

 「そうですよ。ここら一帯ではみんなそういっていますよ」

 「へえ?この貧乏神になるかもしれないおいらのことを?」

 「なにをおっしゃる!貧乏神だなんて。そんなに自分の腕前をかくすもんじゃありませんよ」

 「はははは!あんたは面白い人だね」

 こう答えたキツネはしばらく黙っていた。つまり、この欲張りな辺さんにあきれているのだろう。

 こちら辺さんは、キツネの声がしないので少しあわてた。

 「もしもし、キツネさんよ。どうかしたんですか?私は心からあんたに助けてもらいたいから、こうしてわざわざ訪ねてきたんですよ」

 「ああ。わかった、わかった!」

 「どうですか?お近づきのしるしに、うちで一杯やりましょうよ」

 「へえ?飲ましてくれるの?いいねえ。しかし・・」

 「話はそのときにしましょう」

 「なに?ということはおいらへの頼みはそのときになって話すというわけかい?」

 「そうそう。そういうこと。いいですね。今夜、私はうちで待っていますから。うまい酒と肴を用意しときますからね。いいですね」

 こういい残すと、辺さんはホクホク顔で家の主に声もかけないで帰ってしまった。

 こちらキツネ、辺さんがあまりにも欲張りなので、苦笑いをしていた。

 「この家のものどもは人がよいが、あんな人間がいるとは思わなかったな。よし!まだ寝たりないから、これからまた一眠りしてからご馳走になりに行くか」とまた寝てしまったらしい。

 さて、夕方になり、辺さんが家で酒や料理を並べてキツネを待っていると、不意に窓がひとりでに開き、風が入ってきた。

 こちら辺さんはいまか、いまかとあせっている。と、不意に「辺さん、来ましたよ!」という声がしたので、辺さんはいくらか驚いた。そしてすぐに自分を落ち着かせ、「これはこれは、待ってましたよ。どうぞ座ってください」という。

 「いや。もうあんたの向かい側に座っているさ!」

 「おお!そうですか。じゃあ、一杯やってください」

 辺さんがこういいおわると、杯と箸がひとりでに宙に浮き、ごくごくと酒を飲む音と、むしゃむしゃと料理を食べる音だけが聞こえ、卓上の酒や肴は瞬く間になくなってしまった。そして目を丸くしている辺さんにキツネは言う。

 「ああ。すまないねえ。実はいまから急用があって、いかなきゃならないもんでね」

 「ええ?そんな!!あの小屋で私が言ったじゃないですか。頼みごとがあるって!」

 「ああ。覚えてますよ。で、こうしましょう。明日の夜また来ますから、今度は今晩より多くの酒と肴を用意してくれよ。いいね。明日の晩必ずくるから」

 こうして辺さんに口を挟む隙も与えず、キツネは行ってしまった。というのは、それからこの部屋の中は、静かになったので辺さんにはそれがわかった。

 辺さんは、深いため息をついたが、キツネはまた必ず来ると思い、翌日の晩、たくさんの酒と料理を用意して待っていた。もちろん、いくらか金を使ったが、それでも、キツネのおかげで金持ちになれると思うと、これしきの酒と料理が何だと思ったのだろう。

 さて、辺さんがいらいらしていると、窓がガタガタと揺れ、つむじ風が部屋に入ってきた。なんだ?なんだ?騒がしいなと辺さんが「キツネさん、何を慌てているのかね?」と聞く。

 「いや、いや。すまん。実は友達を呼んできてね」

 「ええ?友達?」

 「そう、おいらの友達だ」

 というと、部屋の中は急に賑やかになり、二つの卓上にぎっしり並べてあった料理が、瞬く間に少なくなり始め、部屋の隅に置いた二つの酒甕も宙に浮いて傾き、わいわいがやがやという声がした。

 「ど、どうしたことだ?」と辺さんが目を大きくしておどおどしていると、酒に酔ったのか、数匹のキツネがその姿を現した。これに辺さんはびっくり。

 するとかのキツネ、「辺さん、あんたも飲みなさいよ」と赤い顔して言う。そのうちにキツネたちは酒や肴をきれいに平らげ、「ああ、うまかった、辺さん、ごちそうさん」といって姿を消してしまったわい。

 それから、かのキツネは商人のうちにもすまなくなり、この町から姿を消したという。

中国昔話
v 蛇の敵討ち 2007-09-18 14:48:50
v (一)「夜半の女」ー1 2007-09-11 14:16:59
v (二)「夜半の女」ー2
 2007-09-11 14:16:47
v (三)「夜半の女」ー3 2007-09-11 14:16:42
v (四)「間抜けなお化け」ー1  2007-09-11 14:16:36
v (五)「間抜けなお化け」ー2 2007-09-11 14:16:30
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