さて、ジャーニャンをいう貧乏人の娘がいた。ジャーニャンはすでに嫁にいっていたが、子供をつれて実家へ戻るその日に、何も土産にするものがなかったので暗い顔して実家に帰る道筋考えたが、いいことが思い浮かばない。そのうちに実家の田んぼの近くに来てしまった。ジャーニャンは疲れたので道端で休むことにした。すると、二人の子供は母親が歩くのをやめたので、田んぼの虫を捕まえ始めた。それにどうしたことか子供たちはうまく虫を捕まえる。しばらくしてジャーニャンが下げている籠は虫でいっぱいになった。これをみたジャーニャンは、これらの虫をお土産にしようと思った。こうして実家に着くとジャーニャンは虫に味をつけて油で炒め、みんなに食わしたところ、はじめは気味が悪いと言っていた母も、夫や息子がうまいというので味見した。
「あれまあ。虫がこんなに美味しいとは思わなかったよ」
このことは瞬く間に村中に知れ渡り、そうだったのか!と人々は先を争って一生懸命虫を捕まえ料理して食べた。こうして虫の数は大きく減り、そのうちになくなるほどまでにになり、おかげで稲は助かり、その年は大きな収穫となった。そのあと、これはジャーニャンのおかげだということなのでジャーニャンは村から三匹の豚をもらった。しかし、ジャーニャンは三匹の豚を料理して、みんなに配ったのでみんなから褒められた。
のちにジャーニャンは亡くなったが、みんなは田んぼの近くに祠を建て、ジャーニャンを記念してこの祠を「虫食い祠」と呼んだ。
そしてジャーニャンが虫を料理した日が六月の二日だったことから、コーラオ族の村々では、この日に豚をつぶして祝い、「虫食い祭」を行うこと決めた。つまり、この日には村から嫁にいった娘が実家に帰り、途中で虫を沢山捕まえた。また、夕飯の後はみんなが祠の周りに集まり、歌や踊りを楽しむ。そのあと、行列を作ってあぜ道を進みながら虫を捕まえ、鶏の血をつけた小さな旗をもち、それを振って虫たちを脅かし、また、ジャーニャンを偲んだという。はい、おしまい。
そろそろ時間のようです。では来週またお会いいたしましょう。
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