今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。
学生の皆さんは、もうすぐ新学期ですね。夏休みはどうでしたか?宿題などは終わりましたか?この林涛は、小学校と中学校は、休み中は遊んでばかりいて宿題などはそっちのけ。そして休みが終わりに近づくとあわててやったものですから、父にしかられました。あのときが懐かしいですね。なんて、一人で思い出に耽っていますが・・・
で、今日は、清の時代の怪異小説集「聊斎志異」から「班兄弟」、唐代の本「国史補」から「彪(ひょう)と虎」というお話をご紹介いたしましょう。
初めは「班兄弟」です。
「班兄弟」
西南部の雲南に殷元礼という医者がいた。当時は戦が多く。世の中が乱れていたことから、殷元礼は家族を遠くの親戚に預け、自分は一人で山へ隠れよう出かけた。その日はお日様が西に傾くころ。殷元礼は山道を歩いていたが、行き先はまだ遠いので獣に出会うことを恐れ、足を速めながらあせっていたとき、前に二人の男が歩いてるのが見えた。
「おお、人がいる。これは助かった」と胸をなでおろし、急ぎ足で男たちの後を追った。
「そこのお二人、お待ちくだされ」
この声に、前を歩いていた男たちが振り返った。
「おお。旅の人か。なんだね」
「実は一人で歩いていると心細いので、しばらく一緒に歩かせてもらえまいか」
「いいよ。ところで、あんた医者のようだね」
「はい、私は、殷元礼という医者ですが」
「おお。あんたが殷元礼さんかえ。名前はきいていた。これはこれは・・」と二人の男は笑顔をみせ、殷元礼に一礼した。
これに殷元礼は、こんな山の中でといくらか面食らったが、それでも悪い気はしない。
「これはこれは。で、お二人は?」
「ああ。俺たちは兄弟でね。おいらが兄の班爪(そう)彼が弟の班牙(が)だ。殷先生、おいら達も戦を逃れて、しばらく前にこの山に住み着いたんだけど・・。実は・・」
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