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金の大豆
   2007-06-19 16:18:01    cri

 今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。

 この時間は、中部湖北省に伝わる「金の大豆」と中国の成語を二つご紹介いたしましょう。まず最初は「金の大豆」です。

 「金の大豆」

 紫陽山のふもとに住む農家には、朝早く起きて糞拾いする習慣がある。この年の冬のある日、朱じいさんが東の空が明るくなり始めたころに、牛や羊の糞を入れる籠を肩にかけて出かけた。そして朱じいさんが山道にかかり始めたとき、山腹あたりにきらきらと光るものが見えた。

 「うん?なんじゃ?」とじいさんは不思議に思って登り始め、途中で光が見えた山腹あたりを見ると、どうもそこには山小屋があり、光はそこから来るようだ。

 「あんなところに小屋があったか?」とじいさんは、首をひねりながら小屋まで来た。そこではなんと仙女のような若い娘が驢馬に臼をひかせていた。じいさんが目をこすってみると、なんと臼の上にはピカピカ光る大豆が積んであった。こちら若い娘は朱じいさんが近くに来たのに気づいていたが、知らんふりをしたいた。しかし、朱じいさんがあっけに取られてその場に突っ立っているのをみてクスリと笑う。これにじいさんは我に返り、苦笑いして頭をかき始めた。そこで娘は「おじいさん、ご苦労さん」といって、横にあったひょうたんで作った器でかの大豆を一掬いすると、じいさんが腰にかけていた小さな袋に入れた。

 「こ、これは、すまんのう。見知らぬものがものを頂くなんて」

 「かまいませんよ。さ、それをもって帰りなさい」

 娘はにっこりわらい、また驢馬に臼をひかせはじめ、もう相手にしてはくれなかった。そこでじいさんは、「ありがとう」と一声残し、慌ててふもとにある村に帰っていった。

 さて、家に戻ったじいさんは、このことを妻や息子夫婦に話すと誰も信じない。

 「なにをいってんだい?あんたぼけたんじゃないかい?」

 「そうだよ。父さん、山にそんな娘が住んでいたかい?寝ぼけたんじゃないのか?」

 「ふざけんな!いくら歳をとっていても、今さっき起きたことだ。ほんとだよ」

 「じゃあ、娘にもらったという大豆は持ち帰ったのかい?」

 「おう、おう!そうじゃった。大豆はこの袋に入っているわい」とじいさんは、腰に結んだ袋を解いて中を見せた。ところが、その袋には穴が開いていて、じいさんは途中で大豆がもれ落ちたことを知らない。それでも底のほうに三粒ほど残っていたので、じいさんは顔をしかめながらも残った大豆を床の上に転がした。

 「ほら、途中で少なくなったけど、確かに大豆は持って帰ったぞ!」

 そこで嫁が大豆をつまんでみて叫んだ。

 「おとうさん!これは金の大豆ですよ」

 「なになに?お!?これは確かに金の大豆だ!」

 ということになり、じいさん一家は大喜び。このとき、息子が言い出した。

 「そうだ!。途中で落ちた大豆を人に拾われたら大変だ、早く探しに行こう!」こうして一家四人は早速家を出て、じいさんが今さっき帰ってきた道に沿って金の大豆を探し始めた。これに隣近所が気付かないわけがない。

 「なんだい?なんだい?朱さんの家はみんな気がふれたのかい?おい!朱じいさんよ。お前さんたち家中が出かけて何してんだい?」

 「いや、なんでもねえ。さ、さっき、落し物をしたんで探しているだけだ」

 「何を探してるんだい?」

 「いや、たいしたもんじゃねえよ」

 こう答えた朱じいさんだが、おしゃべりの嫁が、興奮していたあまりに口を滑らしてしまった。

 「お父さんが、山からもらってきた金の大豆ですよ」

 これを聞いてみんなは騒ぎ出した。そして一緒に探し始めた。しかし、どうしても袋からもれ落ちた金の大豆は見つからず、山腹のかの場所にいってみても娘どころが小屋もない。しかし、朱じいさんは確かに金の大豆を持っているのだ。

 こうしてその日は過ぎたが、このことはすぐにここら一帯に知れ渡った。そこで次の日から多くの人が毎日、かの山に登り、山腹あたりを探し回ったが、何もない。

 やがて、朱じいさんのことは紫陽鎮というところに住む役人の耳に入った。この役人はかなりの欲張りで、朱じいさんのことを耳にすると、なんと数人の下のものに山道に入るところに小屋を立てて住ませ、山に入ろうとする村人たちを追い返させ、自分はいつも一人で山に入り、娘と驢馬を探し回った。

 それから半月が過ぎたころのある夜、かの役人はいつものとおり、一人で山を回っていたが、急に風が吹き、雲が出てきて大雨が降り出した。そこで役人は崖の下で雨宿りしていると、不意に近くに雷が落ちたのか、ものすごい音がした。これに役人はしゃがみこみ頭を抱えていたが、しばらくして顔を上げると近くに洞穴ができており、その中から光が射しているではないか。

 「おお?なんじゃあ?」と役人が目を見張ると、洞穴の入り口にきれいな娘が現れ、手に金の大豆を積んだお盆をもって、洞穴の中に入っていった。これに役人は大喜び。

 「うわっはっはは!やはりこのわしに運があったのだ。金の大豆はわしのものだ」と叫んで娘を追って洞穴の中に入っていった。するとそのとき、ドカーンという音がしてものすごくでかい石が空から落ちてきて、なんと洞穴の入り口をしっかりふさいでしまった。そして雨はやみ、風も吹かなくなり、あたりは静かになった。

 このときから、この役人の姿をみたものはいないという。うん!

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