「名付け酒」、これは、まず昔ですが、昔は、子供がうまれると、易者などに子供の将来を占ってもらい、もし不吉なことが待っているなどと占われた場合は、赤ん坊を近くのお寺に送り、和尚さんや道士に厄払いをしてもらったあと、子供に名をつけてもらい、金持ちの家などは最大な名付け儀式をおこないます。そして家では神や祖先を祭り、規模の大きな宴を設けて親戚や友人を招いて、大いに飲んだり食ったりしたと言うことです。
もちろん、今でも一部地方では、名付け酒を飲む習慣があます。でも、子供の名はその父や祖父はつけるのが一般ですが、以上のべたようにお寺にいって住職さんにつけてもらうのは、珍しいですね。まあ、いいか。
ここで昔の酒にまつわる小話。
「わしはここで」。ここで明の「雪涛諧史」という本からです。
むかし、朱さんと酒が好きな人がいた。
ある日、友人の家で、久しく会っていない仲間たちと会合し、夜になって酒盛りが始まった。この朱さん、かなりの飲兵衛で、酒を飲むといつもぐてんぐてんになるまで飲む。酒盛りはかなり進み、みんなもほどほどに飲んだらしい。かなり酔ってしまった朱さんだが、また飲み足りないらしい。でも、そろそろお開きにしてもよい時刻になった。そこで朱さんがいう。
「おう!みんな。家が遠い方は、先に帰ってもいいですよ。うひ!遠慮なく。私はもう少し飲ましてもらいますから」
これを聞いたほかの人、もういいだろうと、一人、二人と帰っていく。やがて客は朱さん一人だけとなり、客を追い出すわけにもいかんだろうと、この家の主の友人が苦い顔して朱さんの相手をしていると、朱さんが言い出す。
「ああ、あんた。家が遠いんでしょう。先に帰っていいですよ。うひ。私はもう少し・・うひ!」
「朱さん、何いってんだよ?ここは私の家だよ。私にどこへ帰れというんだね?」
「え?あんたの家?あ、そうか。わすれてた。さて、もう一杯、と!ここがあんたの家なら、先に部屋に帰って休んでくださいな。私は、ここでもう少し飲んで、ここでごろ寝しますから!!」
やれやれ!
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