今度は、明の時代の牛粛がかいた「紀聞」という本から「小さな人形」です。
「小さな人形」
いちのことかわからん。宇文進という若者が、ある日の夜、散歩に出かけ畦道で小さいが重く感じるものを拾った。面白そうなので持ち帰って明かりの下で見てみると。なんと人形の形をしておた。
「なんだこれは?少し汚いな。洗ってみよう」と宇文進が水で洗ってみると、それはピカピカ光る金でできたものであった。
「うひゃ!うひゃ!これはもうかった。そうだ、家宝として大事にしまっておこう」
こうして宇文進はその人形をしまったが、どうしたことか、そのときから父がしている商いがどんどん繁盛し、数年も立たないうちに宇家は大金持ちになった。
しかし、数年後に、父がなくなり、家業はもちろん息子の宇文進が継いだ。そしてはじめの何年かは、これまでどおり儲かり、宇文進もこれで安心と枕を高くして寝ていたが、ある日、急にかの金の人形を見たくなったので、押入れから人形を入れた箱を取り出し、それを開けてみると、箱は空!これに宇文進が慌ててそこらじゅうを探したものの、かの人形はどうしても見つからなかった。
宇文進、かなり落胆したが、商いがこれまでうまくいき、かなりの財産を持つまでとなったので、「まあ、いいや」と気を取り直していた。
ところが、そのときから宇文進の商いはうまく行かず、しくじりが重なり、損ばかりしていて、、数年後にはなんととうとう破産してしまったと。やれやれ!
そろそろ、時間のようです。では来週またお会いいたましょう。
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