この思っても見なかった災難に、劉公は顔を真っ赤にして立ち上がり、天に向って叫んだ!
「私という英雄がここで難儀しているというのに、これらのものにあざ笑われるばかりか、なんと神までも私を馬鹿にするのか!!もう我慢できぬ!」
こうして劉公はその足で自分の住まいに帰り、持てぬものを売っていくらかの金に買え、それを路銭にして慌しく都への旅に出た。そしてある役人の屋敷で書生として働き始めた。このときから劉公は人が変わったように、暇があると読書に励み、その懸命さはものすごいものであった。
やがて学問に励んだ甲斐あって、都で官吏登録の試験に受かり、その後も精を出したので、劉公は周りから認められ、のちには官吏の不届きを取締る御史という職に就いた。
ある日、天帝さまの使いだとされる張天師が皇帝にあうため都に来たときに、劉公は「そうだ!あのときのことを天師さまにきいてみよう」と思い、張天師に会いたいと申し出ると、張天師が気軽に会ってくれたので、当時の自分が盗人として怪しまれ、かの祠で門に引っかかってひっくり返り、大恥をかいたことのわけを聞いて見た。
そこで張天師はその場で手紙を書いて飛んできた鶴に手紙を咥えさせ、これを天帝の元に送るよう鶴に命じると、鶴はこっくりうなずき、空高くと飛んでいった。
数日後、天からの返事が来たの会いにこいとの張天師の知らせに、劉公がさっそく行ってみると張天師はこう言う。
「実はその方が恥をかいたというその日、私は天帝によばれ、霊霄殿にて大事なことを話しておった。だから関帝廟のことは知らんかったが、調べによると、祠の裏に一匹のイタチが棲んでおってのう。このイタチが関羽に化けおって、そこもとのことをどうせ貧乏なやつだからと馬鹿にし、少しいたずらしても罰は当たらないだろうと、そこもとが関羽に誓ったにもかかわらず、そこもとをひっくり返らせたのじゃ」
「ええ?イタチが?!」
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