今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。
こちら中国ではこの18日が旧暦のお正月の元日、これは春の節句という意味でしょうか、「春節」と呼ばれ、中国人が一年で一番の祝日としています。春節は一般に「過年(新年)」と言われ、お祝いムードは日本のお正月よりもかなり長く続きますね。で、大晦日は一家団欒で夕食をともにし、花火を上げ、爆竹を鳴らし、元日を迎えるわけです。以前農村では一日の前には、かまどの神様を祭ったり、祖先を祭ったりする儀式などを行ったものです。いまも一部の農村ではやっているらしいですね、昔の方が味があるというのでしょうか。で、元日になりますと子供にお年玉を渡し、親戚や友人を訪ねます。で、春節期間には、華やかな灯篭が町中に飾られ、町中に人々があふれ、大変賑やかですね。日本の中華街では今でもそれも見ることが出来ますね。中国ではもちろん連休ですから、楽しみが多いというわけですね。ま、いまは春節の過ごし方もかなり変ってきましたが、この番組のタイトルに「昔」が入っているので今のことはどうでもいいですかな!
この林涛は仕事でどうせ七日間の連休など取れませんから、休みが取れた日には、うまい酒と肴を楽しみ、時には友人と会食しますかな?
さて、さきほど、春節には爆竹を鳴らすと言いましたが、その目的は過ぎ去っていく年の邪気を追い払うためだと言われています。
(一)「帰省の途中で」?1
では今日の昔話、まずは「帰省の途中で」。(妖怪弄爆竹自滅)
「帰省の途中で」
莫さんは正月を家で過ごすためふるさとに帰る途中に紹興の近くに住んでいる友達の家へ寄った。しかし友達の家は部屋が少ない。仕方なくいくらか外れたところにある友達一家が以前住んでいたという屋敷に泊めてもらうことにした。
「悪いね、莫さん。こんなところに泊まらしたりして」
「いやいや、どうせ、明日は早く出るからいいよ」
「でも、きれいに掃除してあるから。それに布団やそのほかのものもあとで下男に持っていかせるから安心してくれ」
「すまないねえ」
「それより、今夜は久しぶりに一杯やろう。もう五年もあってないからな」
ということになり、その夜は友達の住む家で莫さんはかなり飲んだ。やがていくらか酔った莫さんが、ふらふらと自分の泊まる屋敷にくると、それまで寝る場所の支度などをしていた友達の家の下男が、お帰りなさいませ。もうお休みの準備は出来ておりますといい、いくらかおびえた顔をして、あたふたと帰っていった。
「うん?なんだ?おかしな下男だな。何かを怖がっているみたいだったが、どうしたんだ?」
莫さんはこう思ったが、すぐにそれを忘れ、茶入れに熱いお茶が入っていたので、それを飲んで寝ようとした。そして莫さんは大きなあくびをして床に就いた。が、どうしたことがすぐには眠れない。そこでまたあくびをしながら明日は紹興の町に寄り、親父とお袋、そして妹が好きなものを買って帰ろうなどと考え、微笑みながらもう寝ようとおもった。が、莫さんは酒に強い。
「少しのみ足らんな」と起き出し、酒の強いことを知っている友達が用意してくれた徳利と杯を棚から出し、また飲み始めた。そして月が出ているので、徳利を手に庭に出たが、この屋敷は、いくらか荒れていて、どうも自分の寝る部屋とそのまわりの掃除だけはしたみたいだ。
「うん?」と莫さんは首を傾げたが、すぐに部屋に帰り、袋から本とここに来る前に買っておいた爆竹などを卓に並べ、ニヤニヤして飲んでいた。やがて本当に眠くなったので、明かりをつけたまま横になって寝てしまった。
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