「中国昔話」
今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。
この時間は、久しぶりに食べ物にまつわる昔のお話をご紹介いたしましょう。
さて、みなさんは、ヌルハチをご存知でしょうか?中国最後の王朝である清の太祖のことですね。ヌルハチ は、1559年に生まれ、1626年に死んでいますが、彼は明の末期に健州の女真族を統一し、海西の女真を中心とした九つの連合軍を撃破し後金の国を打ちたて、のちに満州文字や八旗性を制定し、の基礎を固めています。そしてその息子の清の太宗であるホンタイジが、内蒙古の諸郡を統一し、1636年に国号を清としたのです。
(一)「ヌルハチと野菜包みのご飯」ー1
ま、歴史についてはこれぐらいにしてお話に入りましょう。
最初は、「ヌルハチと野菜包みのご飯」です。
「ヌルハチと野菜包みのご飯」
時は明の末期。多くの人が落ちぶれて行く当時の支配者の酷さに苦しめられ、新しい時代が来るのを持ち望んでいたころ。
ヌルハチは八旗の将兵を率いて撫順という城を数日も包囲し、軍の飯は地元の住民に作らせていた。そして撫順を攻め落とすと、ヌルハチは直ちに敵を追撃するよう命じた。しかし、その命令が出たころは、住民たちはまだ飯を作り始めたときで、兵士たち命令に背くわけには行かず、腹の虫がなるのを我慢して出陣するほかはなかった。
これをみたある家の婦人が、腹をすかして出陣しようとする兵士たちを見て気の毒に思い、ふと思いついたのか急に何かを作りはじめ兵士たちに言う。
「いま作るからもって行きなさい。いま食べなくとも途中で食べることが出来ますから」
これを聞いた兵士たちは首をかしげていた。
「なにをいうのか?飯を持って行けというのか?お椀や箸などはもてないし、飯はどこにおくのだ?」
すると、その婦人は「すぐですからね」といい、庭に干してあった白菜の葉っぱを洗ってすでに出来あがっていた肉の入った米の飯をしっかりと包み込んでそれぞれ兵士に渡した。これはと思った兵士たち、仕方がないからそれをきれいな紙で包んで腰の袋に入れて慌てて出陣していった。
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