さて、ヌルハチは、敵を追跡するため出陣を命じ、兵士たちに飯を食わしてはおらず、自分も腹をすかしていた。こうしてそれを我慢し十数里も敵を追ったころ、不意に大雨が降り出して地面は濡れ、燃やす木々も雨で湿ってしまい、飯は炊けない有り様。これにはヌルハチいらだった。これをみた、かの婦人から野菜で巻いた飯を貰っていた兵士が、王が腹をすかしては大変だと思い、自分たちの袋からかのものをヌルハチに渡した。
「王、これは出陣する前、飯を食う暇がないので、わしらの住む陣営の近くの女子が途中でも食べられると渡してくれたものです。うまいかどうかわかりませんが、試してみてください」
「うん?なんだこれは?面白い食い物だな。ああ、一つでよい、あとはお前たちが食え!」とヌルハチは、おかしな顔をしてそれを見ていたが、腹が減っているので、何でもいいから食ってみようとかぶりついた。
「うん?う、うまいな。これは!」と瞬く間にそれを平らげてしまった。
そしてヌルハチは、この戦のあと、かの兵士らを呼び、ことの仔細をきいて大喜び。
「そうであったか!その女子は賢いのう。この戦が終わったら誰かをやってその女子に褒美を使わせ、この野菜包みの飯の作り方を学んで来い。ははは!これで戦のときも腹をすかして苛立つこともなくなったワイ!!」
こうしてその後、ヌルハチの軍隊はこの野菜包みの飯をよく食べるようになり、勝ち戦をつ続けたというわい!
ところで、今でも一部の地方ではこの野菜で包んだの飯があり、いまでは、いくらかすっぱくした白菜の葉っぱで、炊いたご飯や粟をいためたおかずに、葱と味噌を混ぜ込み、おにぎりのような形にしたり細長くしてしっかり包み込み、それを卓上に並べるということです。どんなものかわたしも食べたいですね。
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