こうして井戸掘りがまた始まった。そして今度は、掘りながら穴の回りにレンガを積み、周りから穴が崩れないようにした。だが、ここは前の二つのところより土が固く、かなり苦労してみんな掘っていた。そして三十尺あまり掘ったところで、とうとう岩にぶつかってしまった。これはどうしようもない。そこでみんなは仕方ないと地上に上がった。これをみた孫は、悲惨な顔をして穴の底に飛び降り、手で底を触ってみたところ、こっちの端とあっちの端にそれぞれ丸い岩があるのを見つけた。
「こ、これは二つの竜の目玉でないのかな?きっとそうだ。水の竜の目玉に違いない。こんなにすべすべした岩なんかあるわけがない。きっと竜の目玉にちがいない」
こう思った孫は、急に大声で叫びだした。
「竜や!竜!どうしてお前は人々を助けてくれないんだ!空からは雨が降らず、地の下からは水が沸きでない。お前はみんなを死なせる気か!」
しかし、穴の底からは何も聞こえてこない。そこで孫は目を真っ赤にして「そうだったのか!それじゃ、おいらが死んでやる!」といい、なんと自分の頭をその丸い石に思いきりぶつけたではないか!!
すると「ドカーン」というものすごい音がして、そこの真ん中に割れ目が出来たかと思うと、その割れ目から水が噴出し、瞬く間にみんなが掘った穴をいっぱいにしてしまったではないか!びっくりしたみんなは、吹き出た水に上におされて浮かんできた孫を助けたが、孫は頭からひどい血を出して死んでいた。そこで男たちはみんなのために命をささげたこの若者を惜しみ大いに泣き、その井戸の近くにの若者を手厚く葬った。
こうして水がたっぷり湧き出る井戸が出来たので杭州の人々は救われ、やっと普段の暮らしを戻した。その後、町の人はこの親子三代がしてきたことを思い出し、それに習って自分たちも井戸を掘り始め、杭州にはその後井戸が多くなってきた。しかし、どの井戸も。爺さんの孫が命を失った井戸より小さく、みんなはこの井戸を一番の泉という意味の「第一泉」と名付けたわい!!
そろそろ時間のようです。では来週またお会いいたしましょう。
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