今度は、「七つ目の饅頭」です。同じく「笑林広記」からです。
「七つ目の饅頭」
賀さんは、この日、急いでいたので朝飯抜きで町に出かけた。そして用事を済ませると昼近くになり、腹の虫が鳴り出した。
「うへー!朝飯食ってねえから腹ペコぺこだ。何か食わなきゃやってけないよ。なににしようかな?」
と、周りをみてみると、近くに饅頭を売っている店を見つけた。
「おう!あそこで饅頭売ってらあ」と賀さんは、さっそくその店にいって饅頭をほおばった。あまりお腹がすいていたものだから、賀さん、瞬く間に四つ食べてしまった。
「うん?まだ腹の虫がおさまらねえ。もう少しいただくか」
賀さんはまた饅頭を二つ買ってすぐに腹に収めてしまった。しかし、まだ食べられそうだ。
「えい!こうなったら七つ目にいくぞ!」と賀さん、もう一つ買い、それをまたムシャムシャと食べる。
「ういー!食った食った!腹いっぱいになったぞ」
と膨れたお腹さすってゲップした途端、あることに思いついき、自分に言い聞かせたそうな。
「そうだ!七つ目の饅頭を食べて満腹になったんだ。ということは、おいらは一番初めに七つ目の饅頭を食えば、すぐ腹いっぱいになったんだ。どうして最初に七つ目の饅頭食わなかったんだろう!その前の六つの饅頭はいくら食っての何もならないということだ!損した!!」
そろそろ時間のようです。来週またお会いいたしましょう。
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