これを聞いた長官は、そこから這って牢獄に行き、天亮に頭をついて謝り、どうか自分を殺さないよう虎たちに言ってくれと何度も何度も頼んだので、天亮が許してやれと虎の頭に言う。そこで虎の頭は、今度だけは命はとらないが、これから悪いことをしたらきっと殺すと長官を脅かした。こちら長官、恐ろしさと息子が目の前で食われた悲しさが混じってその場で気を失ってしまった。
こうして天亮は虎たちに守られ、それに虎の頭にまたがって無事に三年ぶりで家に戻った。喜んだのは母で、三年ぶりに息子が帰ってきたので、涙流して人間の姿に変わった虎の頭に礼を言おうとすると、虎の頭は天亮は自分の恩人であり、義兄弟でもあるので礼を言うには及ばないという。
また、恥ずかしいのか中の部屋にいた娘を母が連れてきて、かつての鳳凰のことを話したので、戸惑った天亮は、もじもじしながらも娘に礼をいう。これに娘は顔を真っ赤にして中の部屋にまた入ってしまった。これを横でみていた虎の頭、これはいい夫婦になれると母に言い出す。
「かあさんよ。兄弟の天亮は嫁をもらうときがきたよ。どうだい?天亮と娘を一緒にさせては?」
これに母は喜んだが、当の天亮は顔を赤くして黙っている。そこで虎の頭がいう。
「よし。母さんは喜ぶし、娘さんも駄目とはいわんだろう。なにしろ恩を返すといってここに来て母さんの世話をしたのだからなあ。きまった!俺が仲人になるから、今日から二人は夫婦になるがいい!」
ということになり、天亮は鳳凰から変わったきれいなこの娘と一緒になり、母と共に三人はそれから幸せにくらしたわい。
え?虎の頭、虎の頭は、それからはこの家の常客となり、来るときはいつも何かを持ってくるし、天亮の母を自分の母のようにあつかい、また天亮はいくらか医術を知っているので、虎の仲間の軽い怪我などを治したという。
そろそろ時間のようです。では、来週またお会いいたしましょう。
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