「おお!周りの泥は火のおかげですっかり乾いて色が変わり、泥がわれ始めて中から湯気がたってるぞ」
「さっそく中をあけてみろ」
こうして泥で包んだ鶏を取り出したが、なんと、かなり炙ったせいか、鶏の毛は、周りの乾いた泥にくっついて皮からぽろぽろきれいに落ちてしまい、また、鶏は熱々に出来上がっている。
「どれどれ?」と一人が仲間たちの睨む中を、肉を手でちぎって、フーフーと吹きながら口に入れた。
「うん?これはうまい、。うまい!この鶏は火が十分に通っていて、やわらかく、鶏のうまみがもったいぶらずに出ているぞ。誰か塩はあるか?」
「どうした?」
「少しでいいからふりかけろ。少しでいいんだぞ」
そこで、仲間が大事にしている塩をいくらか鶏にふりかけた。
こうしてみんなは出来た鶏を先に疲れと空腹のためぶっ倒れた男に食べさせ、残りを少しずつだがみんなで食べた。
「うまい、うまい。こんな鶏は初めてだ。むかし、乞食をする前に食った鶏料理よりうまい」
「そうだな。泥で包んで火の中に入れ、少し少し火を通したんだぜ」
「これからは鶏はこうして食べよう」
事はこれで終わったが、このことが誰の口からか伝わり、それから乞食たちは鶏をこのようにして食べるようになった。
のちに、これがなんと杭州のある店の調理人の耳に入り、これは面白いと自分も同じものを作って何度も何度も繰り返し、酒を入れたり他の味付けしたり、また泥ではなく、鶏をハスの葉に包んだりして、よりおいしく作ったので、この店にはこの料理を目当てに来る客が増えた。またこのことががほかの店にも伝わり、この料理は瞬く間に知れ渡るようになった。そして人々はこれは乞食たちが思いついた作り方だといって「乞食鶏」と呼ぶようになったワイ。
そろそろ時間のようです。では来週お会いしましょう。
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