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(六)昔話「もったいないから」
   2006-08-08 10:30:38    cri

 では次のお話、「もったいないから」

 「もったいないから」

 いつのことだっただろう。西南部の四川にある商人がいた。この商人は魚料理が大好きであり、その味付けにもうるさく、時には味付けをめぐって妻と口げんかしたりしていた。

 さて、四川は内陸であることから獲れる魚といえば川魚ばかり。しかし、この商人はときには海に近いところまで足を運ぶのだろうか、海の魚のうまさも知るようになり、家に帰ると川魚特有の臭みを嫌い始め、妻が料理するときは決まってネギ、生姜、ニンニク、酒、お酢、醤油などと唐辛子を入れさせていた。

 と、ある日、商人の妻が肉と野菜のおかずを作るとき、前の日の魚料理につかったネギ、生姜、ニンニクと酒など味付け用の合わせものがかなり残ったので、もったいないと思い、これを千切りにした豚肉と野菜の炒めものの味付けとして加えた。しかし、このような味付けは魚料理以外には初めてなので、妻はこれはおいしくないかもと心配しだし、味付けにはうるさい夫を思い出し、困りだした。

 「どうしようかしら。うちの人はこの肉のおかずはまずいといってまた文句言うにちがいないわ!困ったわ!どうしよう」

 妻は自分で味見しないまま、座り込んでポカーンとしていた。暫くして夫が商いから戻ってきた。時は夕方であり、商人は昼餉をとっていないのか、家に入った途端、「腹が減った!腹が減った!早く飯にしてくれ。腹ペコだ!」と妻にいう。

 そこで妻は仕方なく、先ほど作った肉料理などを恐る恐る出した。

 「おう?おかしな色付けの肉料理だな」と商人はさっそく箸を取り食べ始めたが、すぐに箸をおいてそのおかずを睨みだした。これを見た妻はすぐに叱られると思って小さくなっていた。

 「うん?これはうまい、肉と野菜の料理で、このうまい味は初めてだ。うまい、うまい」と商人はご飯を何杯もお変わりし、そのおかずを平らげてしまった。

 「おう?お前、今日はどうしたんだい?このおかずはどうやって味付けしたんだい?」

 「そ、そんなに美味しいんですか?」

 「ああ。うまい、うまい。作り方をいってっみな」

 「実は、昨日の魚料理で残ったネギや生姜、ニンニクやお酒などを合わせたものをもったいないと思ってこのおかずを炒めるときに入れたのよ。だってもったいないと思ったから」

 「へえ!??ほんとかい?魚と肉では食べた味がこうも違うのかなあ?うん、それにしてもこれはいいこと聞いた。これからこの味のおかずを作ってくれ。うん?まてよ。この味で作った料理は売れるかもしれないぞ」

 ということになり、のちに飯屋を開いたそうだが、その際、この味を、魚料理の味付けを用いたことから魚の香りとかく「魚香」と呼ぶようした。そしてこれはまもなく多くの人が知るようになり、のちに職人が手を加えてさらによくなり、うまいおかずの作り方として代表的な四川料理の調理法となった。こうしてこの「魚香」という調理法は今に伝わったそうな。

 はい、おしまい

 そろそろ時間のようです。では来週またお会いいたしましょう。

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