「うん?あの衣装は??」と馬震が首をひねって考え出し、すぐにあることに思いついた。実はその衣装は、いまから十一年前になくなった母に着せたものだった。生前、母が気に入っていたので息を引き取ったあと、この衣装を着せて棺おけに入れ、南山に葬ったのであった。ここまで考えた馬震、びっくりして叫んだ。
「母上!母上!」
この叫び声に驢馬に乗っていた婦人は驚き、驢馬を下りずに近くの馬小屋に入っていった。こちら馬震、これを追ってその馬小屋に入った。するとその婦人は壁の側に立っている。
「母上!どうしてここへ!」
これを聞いても婦人は動かない。そこで馬震は近寄って婦人の衣装を引っ張った。すると婦人は倒れた。驚いた馬震がしゃがんでみると、衣装をまとっていたのは白骨化した屍であった。馬震は恐ろしくもあったが、それよりも母が気の毒になり、涙をぽろぽろ流した。そして細かくみると、屍の骨の間には赤い血脈が数本通っていたではないか。
馬震は衣装をまとった母の屍を大事に抱き上げ、その場でワーワー鳴き出した。
翌日、馬震は母の屍を馬車につみ、南山のお墓へ行って棺おけを掘り出して見たが、中は空であった。そこで馬震は、母はここで眠っているのがつらいので、息子の自分を探しに来たのだと思い、また別のところを探し、母の屍を丁寧に埋めた。しかし、死んだものがどうして棺おけを出られ、驢馬に乗って息子の住まいまでこられたのかは、どうしてもわからなかったという。
どうなってんでしょうな?
そろそろ時間のようです。では来週お会いいたしましょう。
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