大会後のインタビューで、エースの王濛選手はチーム全体の頑張りについてこう語っていました。
「中国のショートトラックが、韓国とどれくらい差があるかは、今大会だけでは判断できません。例え、今大会8種目全てで優勝したとしても、オリンピックで、この成績がとれるとは限りませんから。ただ、アジアの大会とはいえ、この高いレベルで韓国と争えたことは、中国にとって、貴重な経験となったと思います。韓国との差はどのぐらいあるか、これは、2010年のバンクーバーではっきりするはずです。」
さて、女子は王蒙らが頑張りました。では、男子はというと、男子500メートルと1500mで中国の若手、胡澤と隋宝庫の二人がそれぞれチャンピオンとなりました。これは意外の勝利というよりも、男子500mの胡澤についていえば、ある意味、棚ぼた的ではありまして、前を行っていた韓国のアン・ヒュンスーが失格したための優勝だったのですが、ただ、それでも彼の42秒042というのは、アジア記録でしたから、やはり、それだけの成績は残しているというわけです。
あと、ショートトラックは、実は個人種目ではありながら、チームメートとの共同作戦がものをいう競技でもあります。胡選手と隋選手という二人の若手の勝利は男子代表の全体レベルの向上をも示しています。男子1500メートルで金メダルを獲得した隋宝庫選手です。
「韓国選手とは、まだまだ主に実力的に差があると思います。ただ、今回、私達が出場した4種目で金2個を取れました。これは一つの進歩です。2010年のバンクーバーでは、すべての種目で金メダルを争いたいです。」
ただ、今大会は中国にとって見れば、地元開催、いわばホームですから、非常に戦いやすい環境にあったのも事実で、それは十分に差し引いて考えなければならないと思います。あと、女子1000メートルや男子5000メートルリレーなどでは、最終的に、韓国に逆転勝ちされ、その強さを見せ付けられた格好となりました。
ですから、決して、メダルの数だけで、中国が韓国に追いついたとは単純には言い切れないというのが実のところだと思います。で、じゃあ、これから3年間、バンクーバーまでに、中国勢がどうしていけばいいのかというところですが・・それに関して、まずは長年、世界のトップを走り続けている韓国のスケート協会のクドン・ポックキ(KUDON PAOK KI)理事長に伺いました。
「現在、私たちはある共通の戦法を取っています。それは、外から追い込んで、抜き去るという外線追い込み戦法というものです。この戦法は、まだ世界で十分に通用しますが、すでに、多くの国が研究を始めており、これだけに頼ることはできなくなっています。ですから、我々は、日々、新たな戦術を研究し続けています。加えて、選手たちは毎日8時間もトレーニングを続けています。厳しい日常トレーニングこそ、韓国の最大の持ち味と言えるのでしょう。」
多くの中国選手は「韓国が目標」とはっきりと語っています。このようなライバル関係は中韓両国に良い刺激を与えているといえます。韓国中国の激烈なライバル意識こそが、ショートトラックで、両国を世界のトップレベルに押し上げる原動力になっているといえるでしょう。いずれにしても、今大会は、このスピードスケートを中心に、非常に面白いウィンタースポーツの戦いが見られました。今日も何度か選手たちの話にありましたが、2010年のバンクーバーに向けて・・中国はまずまずのスタートを切ったといえそうですね。(文章:王丹丹 02/05) 1 2
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