先週、中国バスケットボールリーグの広東に所属する易建聨選手が、来年、バスケットボール最高峰、アメリカNBAの新人選択会議、ドラフトの対象者となることが決まりました。バスケット好きの国民性の中国ですから、この一週間のスポーツ界は、この話題で持ちきりという感じでした。はたして、中国の英雄、ヤオミンに続くことができるのでしょうか。
このアメリカNBAの正式名称は、ナショナル・バスケットボール・アソシエーションで、1946年、ニューヨークで始まったプロバスケットリーグです。アメリカ、そしてカナダに合わせて30チームがあり、東西に分かれて、リーグ戦を戦います。アメリカは、世界最大のバスケットボール強国ですから、当然、そのプロリーグは世界最高峰でもあるというわけです。
そして、そのドラフトというのは、日本でもプロ野球選手の入団のときによく耳にするのですが、プロ球団がアマチュア選手との契約交渉権を手に入れるときに行なう会議のことです。放っておくと、有力選手に対して、各球団が殺到して、金銭が飛び交う不当な競争が起きる可能性があるため、それを防ぐべく、設けられた制度というわけです。易建聨選手は来年、このドラフトに参加します。
ところで、易建聨選手は、今年19歳。NBAの規約で、海外選手を指名するときは19歳以上と決められていますから、その基準に今年達したということになります。身長2メートル11センチと高さがあり、13歳からバスケットボールで才能を見せ始めました。2004年、当時17歳の易建聨さんは、中国代表の一員としてアテネオリンピックに出場しました。また、今年日本で開かれた男子バスケットボールの世界選手権にも主力メンバーとして出場し、アメリカNBAの各球団も、稀に見る逸材として、常に注目してきた選手です。
で、このNBAのドラフト会議は6月下旬に行なわれますから、易建聨選手は、来年2007年6月のドラフト会議で、どこかの球団かは分かりませんが、彼を指名することになる、というわけです。このドラフトで指名され、さらにその球団に入団すれば、王治チ、ヤオミン、バタールに続き、4人目の中国人NBAプレーヤー誕生というわけです。
易建聨のNBA行きを許可した広東宏遠クラブの劉宏疆副総経理は、その理由について、「過去一年間、彼は更に成長した。彼のレベルはすでに中国国内にとどめるべきではなく、新しい環境を与える必要がある。」
この易建聨選手のドラフト参加が発表されたことを受けて、中国国家代表チームのヘッドコーチである、リトアニア人のヨナス氏にお話を伺いました。
「私ができるのは、彼がアメリカで成功するよう祈ることだけです。ただ彼の挑戦は、中国の他の選手たちにとっても大きな意義を持つでしょう。将来の目標をもっと大きく持って、そのために努力すべきです。そうすれば、日常の練習により集中できるようになります。易建聨の今回の挑戦は、その良いお手本になったといえます。中国チームの他の選手達も、ここ二、三年の内に、NBAドラフトに参加しようと考えるくらいの気概がほしいですね。」
また、中国人初のNBAプレーヤーとなり、現在は中国の国内リーグで活躍する王治チ選手もコメントを発表しました。
「NBAは世界で最も優れたバスケットボールリーグです。そこへ行くことは彼のバスケット人生で大きな財産となるでしょう。彼の力がますますレベルアップすることを期待しています。」
そして忘れてならないのが、現在、NBAヒューストンロケッツで活躍中のヤオミン選手です。後輩がまもなく、同じ土俵に立つことになるわけですが、彼はこう述べました。
「いまの段階では、選手個人がNBAに進出したからといって、それが直接、中国バスケの全体レベル向上につながるとは、正直言えません。ただ彼自身のレベルアップには間違いなくプラスとなります。しかし、ドラフト参加はあくまでスタートに過ぎません。大変なのは、これからです。彼には、『グッドラック』と言いしかありません。」
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