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晏紫・鄭潔組 | 蒋宏偉氏は1986年、ATP・男子テニス協会のコーチ資格を中国人で初めて取得した人物だ。そして、女子テニスを来る北京五輪へ導く大切な任務を背負う監督でもある。今回は、バルセロナに続いて2度目の五輪監督を務める。
10年前、中国テニスは"プロ制度"を採用していなかった。そのため賞金目的の大会であるATPとWTAのツアー、つまりプロの国際試合にはほとんど選手を出場させることがなかった。その結果、当時、世界でも十分戦える実力ある選手が揃っていたにも関わらず、中国は『テニス後進国』から抜け出すことが出来なかった。
しかし今、中国のテニスは、全面的なプロ化を実施している。これにより、選手たちは積極的にATP、WTPなどの世界ツアーに打って出ている。そして世界トップレベルの選手たちと真剣勝負で戦い、切磋琢磨し合える。また世界ランキングにも名を連ね、より高い順位を目指して、努力を続ける。それが花開いたのが、アテネ以降の中国選手たちの活躍なのである。
ただ、北京五輪でのメダル獲得はそう容易な道ではない。すでに中国勢は世界の強豪の一つと数えられ、マークも以前と比べ物にならないほど、きつくなっているからだ。蒋宏偉監督は、これについて、こう語った。
『四大大会、そして五輪の金メダルを手にして、中国チームは一気に世界の注目を浴びるようになりました。そして世界中の強豪選手たちが我々を研究してくるようになった…つまり、我々の技術レベルや戦術は全てお見通しだというわけです。こんな中で戦うことは、中国チームにとって大きなプレッシャーです。自分自身の力を絶えずレベルアップし、技術に磨きをかけ、また戦術を豊富にしていくこと・・そうでなければ、今の地位を守ることはできないでしょう』
またここ十数年のテニス界を振り返って、蒋監督はこう続ける。
『テニスの発展は、国の経済力と比例としています。我々の祖国が発展し、経済力が向上すれば、テニスもその分、発展していくのです。これは間違いありません』
2004年アテネの金メダルから始まった中国テニス界の力強い躍進。これは、プロ化によって選手たちの向上心が高まり、優れたテニス環境が生まれたこと、そして中国経済の大いなる発展にあることは間違いない。
2008年、祖国での開催で、大きなプレッシャーを受けることになろう北京五輪。中国テニスファンは間違いなく、アテネ、全豪に続く、ビッグサプライズの実現を待ち望んでいる。 1 2
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