「今週の一押し」、先週もこの話題を取り上げましたが、今月7日まで東京で行われていたバドミントンの国・地域別対抗戦、トマス杯・ユーバー杯の話題を取り上げます。
試合では中国チームは男子団体戦と女子団体戦のチャンピオンを見事制覇しました。しかも、すべての試合を3:0で優勝し、圧倒的な強さを示しました。もともと「バドミントン王国」と言われるほどの中国チームですが、今回の優勝で、その地位を不動のものにしたものと思います。そして来る2008北京での金メダル獲得に、いわば足場を固めたといえるでしょう。
中でも、今大会は男子の頑張りというのが注目されました。男子団体戦で、中国チームが3:0でデンマークチームをストレート勝った後、中国チームの総監督、李永波氏は、このようにコメントしました。
「中国選手たちは技術的にだけでなく、精神的な面でも、非常に積極的な姿勢を前面に出せています。これは非常に大事だと思います。特に、2008年の北京オリンピックを控え、若い選手たちが、その積極性を出せるか、それが中国チームの勝利の鍵ですね。」
李永波総監督が言ったように、今回の世界トップレベルの団体戦で、中国代表は個人の力だけでなく、チーム全体の力で戦えたような気がします。特に、男子シングルスの林丹選手、鮑春来選手、それから、ダブルスの蔡贇(イン)・傅海峰ペアは、自分と同じレベルもしくはそれ以上の実力を持つ相手に当たったときでも、とても落ち着いたプレーを展開していたような気がします。いい意味での「王者としての自信」が生み出したものなのかもしれません・・。
中国バドミントンチームの一番のすごいところ・・それは世界トップレベルの選手が集まっているだけではなくて、これらの選手はいずれもまだ若いということです。先林丹、鮑春来、蔡贇(イン)、傅海峰など、最年長が23歳というチームですから、今まさに伸び盛りの選手たちがそろっています。若いから、潜在力もいっぱいあるし、これからも、数年間、まだまだ第一線で活躍できます。中国チーム、特に、男子チームの全盛期は、まだまだ相当長い期間、続くでしょう。
ところで、トマス杯二連覇の男子もすばらしいんですが、女子チームはもっとすばらしい成績を勝ち取ったのです。1998年以来のユーバー杯5連覇を果たしました。
実はこれ以前に1984年ー1992年にかけても、5連覇を果たしたこともあります。これで、中国チームはユーバー杯の最多優勝記録、そして、唯一5連覇を二度、実現したチームとなったわけです。李永波総監督です。
「これからの目標としては、オリンピックに向け、21点制の具体的な対策を積極的に模索していくことです。そして中国チームが引き続き、ユーバー杯の6連覇、8連覇、ないし10連覇を果たして、ユーバーのカップを一日でも長く中国に置いておけるを願っています」
2004年、中国チームはやはり男女アベック優勝を果たし、その勢いをオリンピックまで持ち込んで、アテネでは、女子シングルス、女子ダブルスとミックスダブルスの3個の金メダルを獲得しました。
今回と二年前のチームですが、まず女子は相変わらず安定した好成績を保っているということ。そして特筆すべきは男子の力がかなり向上したということです。ただ一つだけ・・「チャンピオンになることよりも、チャンピオンであり続けることのほうが圧倒的に難しい」・・これは事実だと思います。これから2年間、当然他国のマークもきつくなりますし、チャンピオンベルトのプレッシャーというのは絶対に逃れることができないものですから、しかも自国開催のオリンピックが控えている・・考えうる全てのプレッシャーが一気にのしかかってくる、そんな言わば苦しい2年間でもあると思います。
でもそれだけに、2008年の北京オリンピックに向け、中国バドミントンチームがどんな戦いを見せてくれるのか、楽しみです。
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