
中国は今、2008年北京五輪に向け、インフラ建設、選手育成、周辺環境整備などあらゆる面において、努力を続けている。特に競技に関しては、中国国家体育総局は、28の五輪種目を中心に力を入れ、各競技でのメダル獲得、もしくは上位進出を目標に強化を続けている。
しかし、そのオリンピック種目に"入っていない"競技をあえて行う全国規模の大会が、中国で盛大に行われているのをご存知だろうか。
先月30日、中国東部の都市、蘇州で11日間にわたって行われていた第3回中国全国体育大会(All China Games)が閉幕した。この大会は、オリンピックや全国スポーツ大会(日本の国体に相当。五輪と種目がほぼ一致する)と同じく4年に一度開催される全国最大規模の大会。ただ、それらと異なる点は、五輪種目に入っていない競技のみを開催し、それらの普及が目的であるということである。具体的には、ボーリング、ビリヤード、スポーツダンス、チェスなど28種目。今大会には全国から55チーム4085人が参加し、11日間のうち、11種目で世界記録、5種目でアジア記録、16種目で中国記録が更新された。このことから見ても、中国が五輪種目だけでなく、非五輪種目に対しても、並々ならぬ力を入れていることが分かる。
中国国家体育総局の劉鵬局長はこの大会について、こう語る。
「全国体育大会は、オリンピックに登場しない種目からなる総合的なスポーツ大会だ。確かに注目度はそれほど高くない競技が多いが、これら28種目は、今も多くの人々に愛され続けている。いくつかの競技で中国人が世界トップレベルの力を持っている。全国体育大会の開催は、これら、普段注目されにくい種目にスポットを当て、各競技の普及やレベルアップ、そして国民のスポーツに対する関心を喚起すること、また全国民がスポーツに親しんでくれるよう、促していくという使命を持っているのである」
中国の体育当局は今後、"非五輪種目"も重視し、積極的に推し進めていくと、すでに表明している。「スポーツの発展」とは五輪でいくつ金メダルを獲得するかということだけではない。もっと重要なのは、国民それぞれが年齢に適した形でスポーツを楽しみ、ある者は体力アップ、あるものは健康維持のため積極的にスポーツに関わっていけるよう、促していくことである。
今大会で、「フィンスイミング」では世界記録更新が続出する「金のプール」となった。「フィンスイミング」とはヨーロッパに愛好者が多い新スポーツで、フィンやスノーケル、ボンベなどを使って"イルカのように"泳ぐ競技である。ボンベを背負って水中を泳ぐ「イマージョン」の100mの世界記録は33秒あまり。その他、付ける装備や泳法によって12種目に分かれている。この競技では、特に中国女子が高いレベルを誇っており、大会前からすでに11種目で世界記録を持っていた。そして今大会では4日間の競技期間中、世界記録が11回更新された。そのうち、唯一世界記録を持っていなかった4×100mリレーで、先月29日、ロシアの世界記録を破ったのである。これで、「フィンスイミング」においては12種目全てで中国人が世界記録を有することとなった。この結果について、「フィンスィミング」を統括する中国潜水運動協会の蘇科秘書長はこう分析する。
1 2
|