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なぜ妖怪学なのか~日本妖怪学研究第一人者・小松和彦さんに聞く(上)

2017-02-14 19:37:43     cri    


聞き手:王小燕

 日本では近年、妖怪がブームのようですね。

 2013年の三井記念美術館に2016年の江戸東京博物館。「大妖怪展」と題した展覧が相次いで開かれ、その都度、多くの見学者を惹きつけ、妖怪談義が盛んになります。

 今の日本で、妖怪は人々の心を豊かにしてくれた伝統文化として、その価値がどんどん見直されています。しかし、こうした状況を迎えるまでに、40年間、地道にくじけずに妖怪学と取り組んできた学者たちの努力がありました。その中の1人が、日本では「妖怪学研究」の第一人者と言われている小松和彦さんです。

 40年前の日本は、経済高度成長の真っ只中でした。物質的な豊かさが重んじられ、妖怪などは人々の記憶から忘れられる存在でした。

 「妖怪ばかりを研究していては、職も見つからないし、嫁ももらえないよ」と若い頃、小松さんは脅かされたことも。しかし、それにもめげずに研究を続けてきたのは、信念があったからと言います。

 「妖怪は人間の代理人です。人間の苦しみや悲しみを妖怪は引き受けて語ってくれている。妖怪を見ると、人間が見えてくる。そういうことをきちんと学問的に整理することで、妖怪の文化的価値をきっと多くの人が発見してくれるだろうと思っていました」

 40年にわたる地道な努力が公に評価され、昨年秋、日本の文化功労者に選ばれました。

 昨年末、小松所長は清華大学との学術交流で北京を訪れ、北京市内で一般向けの公開講座も開催。若手研究者のみならず、多くの日本のサブカルチャー愛好者をひきつけました。ご多忙の日程の中、移動の車中でCRIインタビューに応じてくださいました。

 今週と来週は「妖怪学」の専門家で、国際日本文化研究センターの小松和彦所長にお話を伺います。

 今週は妖怪学との出あい、妖怪研究の意義をめぐって、来週は妖怪博士とそのお友達です。漫画家の水木しげる氏、小説家の京極夏彦(きょうごくなつひこ)氏とのお付き合いでのエピソード、そして、妖怪博士の妖怪に対するお好みなどを伺います。日本の妖怪ブームの根源に迫るお話です。どうぞお聞き逃しのないように。

【プロフィール】
小松 和彦(こまつ かずひこ)さん  

 国際日本文化研究センター所長

 1947年東京都出身。
 文化人類学者、民俗学者。口承文芸論、妖怪論、シャーマニズム、民間信仰などを研究。
 文化人類学の切り口の1つとして、妖怪について調べ研究し、学問として確立。
 2016年10月 日本の文化功労者に選ばれる。
 中国では、学術界だけでなく、ACG(マンガ、アニメ、ゲーム)など日本のサブカルチャー愛好者から「妖怪博士」として知られている。

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