20170124-2.mp3
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聞き手:王小燕
637万人。
日本政府観光局(JNTO)の発表した2016年の中国大陸からの訪日観光客数です。この数は、訪日外国人観光客の約4分の1を占めています。
こうしたことを背景に、中国人観光客を含めた外国人の訪日観光、つまり、日本のインバウンド事業の開拓に奔走している経営者がいます。
ドン・キホーテグループJIS(ジャパン インバウンド ソリューションズ)社の中村好明社長です。JISはドン・キホーテ社がインバウンド事業に特化した子会社として2013年に設立。今回のインタビューは昨年末、中村さんが北京を訪れた際に収録したものです。
ところで、「インバウンド」が日本国内で脚光を浴びるようになったのは、2003年、政府が掲げた「観光立国」の政策に遡ります。その2年ほど前には、中国人ツアー客による日本観光が本格的にスタート。その後、年を追うごとに日本を訪れる中国人観光客は増え続けてきました。
こうした中、2008年7月、中村さんはドン・キホーテ社内でインバウンドプロジェクトの責任者に就任。今では「訪日中国人観光客の2人に1人が来店している」とも言われるドン・キホーテですが、当時の滑り出しは決して順調ではなかったようです。
「2008年7月、上海、蘇州と南京をまわり、18社の旅行会社と商談しましたが、そのうち、ドン・キホーテのことを知っている旅行社は一社もなかったです」
今は微笑みながら振り返る中村さん。その後、インバウンドにおいて確固たる地位を獲得するまでには、継続的な関係作りとプロモーション、そして、何よりも地域全体を巻き込んでの、共同での行動がものを言わせたと話します。
「ドン・キホーテは今、350余りの店舗が、日本全国にできました。しかし、外国からの観光客は単独の店のためだけにその地方を訪れない。町全体の魅力を提案しないと、来る理由はない」
地域の商店街の多くの店で同時に使える割引カード「ようこそカード」の提案など、多くの取組が成果をもたらしました。今は年間来店数が3億人になっているドン・キホーテ。「外国人観光客の売り上げ構成比を今の6%から10%に引き上げる」、と新年の抱負を語ります。
一年365日の中、合計300日余りを国内外の出張で過ごす中村さん。
「私の大学、大学院時代の専攻は公共哲学でした。それを実現したくて今の仕事をしています。人口減を背景に、社会の持続可能な発展を実現するのは、定住人口と交流人口の掛け算の力しかないと思います」
精力的な活動の支えを淡々とこう語ってくれました。
今回は、日本のインバウンド事業の現場で活躍のプロにお話を伺います。目下の外国人訪日観光の現状と課題、そして、今後の成り行きについて、中村さんはどう見ているのか。また、経営者として、これから社会に出る大学生に寄せたメッセージも頂きました。あわせてどうぞ。
番組をお聞きになってのご意見、ご感想を riyubu@cri.com.cnまでお寄せください。
【プロフィール】
中村 好明(なかむら・よしあき)さん
1963年、佐賀県生まれ。上智大学出身。2000年㈱ドン・キホーテ入社。広報・IR・マーケティング・新規事業の責任者を経て、08年7月、社長室ゼネラルマネージャー兼インバウンドプロジェクトの責任者に就任。13年7月、㈱ジャパン インバウンド ソリューションズを設立、その代表に就任。
ドン・キホーテグループに加え、日本の国・自治体・民間企業のインバウンド分野におけるコンサル業務、教育研修事業、プロモーション連携事業に従事。日本の地方自治体や企業で、年間約200本の講演活動を行う。
『地方連携』をキーワードに広域範囲の商業施設や観光施設をまとめた委員会活動など業界、業種、ライバル関係を越えた連携活動を啓発している他、フォーラムやセミナーを開催するなど、人材育成にも注力している。
【現在】
観光庁観光立国ラウンドテーブル委員
日本ホスピタリティ推進協会理事・グローバル戦略委員会委員長
全国免税店協会副会長
みんなの外国語検定協会理事
関西美食ツーリズム推進協議会 観光政策研究会 会長
【主な著書】
•『まちづくり×インバウンド 成功する「7つの力」』(朝日出版社)
•『空室が日本を救う! ―――イノベーティブ企業22...』(ダイヤモンド社)
•『観光立国革命~インバウンド3.0の衝撃! 持続可...』(カナリアコミュニケーションズ)
•『[リアルな会話CD付き]接客現場の英会話 もう...』(朝日出版社)
•『インバウンド戦略 ―人口急減には観光立国で立...』(時事通信社)
•『ドン・キホーテ流 観光立国への挑戦―激安の殿...』(メディア総合研究所)
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