中国国際放送局紹介 日本語部紹介
Home
日中両国の文化をテーマに シャッターを切りつづけたい!!
   2007-12-12 15:15:15    cri

 元報道カメラマンの馮学敏氏は、来日してから20年もの間、日本と中国の文化をテーマにシャッターを切りつづけてきた。現在は大手広告代理店のアサツーディ・ケイに勤めながら、各地で個展を開催しているそうだ。さっそく、そんな馮氏の活躍ぶりと写真にかける思いについて聞いてみた。

 馮学敏(ひょう・がくびん フォン・シュエミン) 1953年上海生まれ。70年文化大革命による下放政策により雲南省へ。82年上海画報社で写真記者となり、85年に来日。日中両国で活動。99年第36回「太陽賞」大賞。00年、「世界華人芸術大賞」金賞。現在、(株)アサツーディ・ケイ クリエイティブ計画局フォトルーム部長。そのほか上海師範大学客員教授なども兼任。写真集は「馮学敏撮影芸術」「紹興酒の故郷」「磁器・景徳鎮の故郷」など。中国美術館(北京)に4点、上海美術館に6点、東京都写真美術館に6点、紹興市博物館に2点、景徳鎮市美術館に4点、中国駐日大使館に2点、それぞれ作品を収蔵している

 取材は張国清北京放送東京支局長である。この取材内容は日本東方通信社の週間雑誌「コロンブス」2007年11月号に掲載されている。

世界を股にかけて 日中の文化を探求

張国清: 馮さんは日本に来てどれくらいになるのですか。

馮学敏: 20年チョットになります。それまでは上海の上海画報社で報道カメラマンとして働いていましたが、85年に国費で来日することになったのです。来日の目的は講談社での研修でした。出版はもちろんのこと、広告や販売の勉強もさせてもらいました。月曜日から金曜日までは会社勤め、土日は自分の作品づくりといった生活をつづけました。ノンビリと過ごせる時間はありませんでしたが、とても充実した生活を送ることができました。日本全国を取材したので、だいたい日本を2周ぐらいはしたと思います。フィルムは1年間で1000本以上使用しました。

張:当時の作品のなかで印象深いものはありますか。

馮:新宿の三井ビルディングを撮影した写真が印象に残っています。当時の新宿は高層ビルの建設ラッシュで湧いていました。そういったこともあって、真夜中でも三井ビルディングの窓はすべて煌々と光っていたのです。私はこの窓を、向かいの京王ホテルの客室から撮影しました。三井ビルディングのなかの人たちがそれぞれ働いている様子を撮ることができました。当時の東京の熱気を表現できたと思っています。

張:講談社での研修を終えた後は、中国に戻ったのですか。

馮:そうです。ですが、88年にはふたたび来日することになりました。中国に戻ってから、もっと日本のことを知りたいと思うようになったからです。そこで、日本大学の大学院に入学し、写真の研究をすることにしたのです。そして、大学卒業後はADK(アサツーディ・ケイ)に入社することになりました。現在会長を務めている稲垣正夫氏が、私の写真を気に入ってくれ入社を薦めてくれたのです。

張:それは素晴らしい縁ですね。ADKに入社してからも、馮さんの写真にはそれぞれテーマがあるそうですが、そのあたりについてお話しください。

馮:日中両国に深く関係するようなテーマを選んで撮影することにしています。最初のテーマは紹興酒でした。これは日本酒と紹興酒のルーツを探るところからはじめました。そして、実際に現地に行って、酒造りの現場を取材してきました。ちなみに、紹興酒は中国紹興市の特産品です。この地は魯迅や周恩来のふるさととしても有名ですから、そういった人物に思いを馳せながら、写真を撮っていました。  つぎにテーマにしたのは景徳鎮の陶器です。景徳鎮を取材するにあたっては、最初に日本の有田焼や備前焼を取材しました。というのは、有田焼のルーツが景徳鎮にあると考えたからです。もちろん、景徳鎮にも出かけて取材をつづけました。静まりかえった工房ではシャッター音だけが響いていました。  また、雲南省のプーアル茶をテーマにしたこともあります。私は文化大革命の際に10年間、雲南省に疎開していた経験があるので、この取材は自分のルーツをたどることにもなりました。ちなみに、雲南省からは茶を運ぶための道が伸びています。茶馬古道という道です。昔の輸送手段は馬しかなかったので、ベトナム、チベットといった目的地に茶を届けるのは命がけで、長い時間がかかっていました。そのため、茶葉は自然と発酵してしまい、各地で紅茶やウーロン茶といった飲み方が生まれたのです。こうしたテーマのほかにも、これまでに菜の花や棚田といったテーマの作品も撮りつづけてきました。  私はひとつのテーマにつき、10年近く撮影しつづけます。時間をかけるのは、そのテーマを深く掘り下げる必要があるからです。写真には撮る人の個性や教養が乗り移ります。だからこそ、最初の3年間は資料を集めたり、勉強して、正しい教養を身につけるようにしています。 被写体との信頼関係が いい写真を生み出す

張:取材の際には、どのようなことに注意していますか。

馮:私の取材のモットーは現地の生活に溶け込むことです。そうしなければ、そこで暮らす人たちの自然な表情を撮ることはできませんから。だから、私は現地でホテルに宿泊しないようにしています。取材先の家に宿泊し、寝食をともにすることから私の取材ははじまるのです。もちろん、なかには口に合わない食べ物もあるのですが、それも含めて文化や風習を学ぶ必要があるのです。また、取材に行く際は、つねにポケットのなかにタバコとアメ玉を入れておくようにしています。出会った大人にはタバコを渡し、子どもにはアメ玉を渡すのです。そうすることで、信頼関係を築いていくわけです。そのほか、私は被写体になってくれた人にはゼッタイに撮った写真とお礼の手紙を送るようにしています。これはカメラマンになってからずっとつづけていることです。

張:取材で苦労した思い出はありますか。

馮:チベットを取材しているときに、乗っていた自動車が転倒して、大ケガをしてしまいました。3日間意識を失い、下手すれば下半身不随になる可能性があるほどでした。しばらくは体を動かすこともできず、中国の病院を転々として、延べ1年間くらい入院していました。精神的にも非常に落ち込んでいましたが、日本から多くの友人や同僚たちが見舞いにきてくれたことが、大きな励みになりました。

張:現在はどのようなテーマの写真を撮っているのですか。

馮:最近は日本のデパートなどのショーウィンドウに興味を持っています。ショーウィンドウは1カ月に1度変わるのですが、そこには季節性やファッションのトレンドが反映されているので、非常におもしろいのです。

張:これからも写真を通して、日中の文化を撮りつづけてください。本日はありがとうございました。

kokuseiが聞く
v 日本で活躍する中国人・張一帆 2007-12-10 11:40:03
v 日本で活躍する中国人・李エンさん 2007-10-26 10:13:45
v 日本で活躍する中国人・庄漫 2007-10-13 15:39:17
v 日本で活躍する中国人・于前 2007-08-13 15:21:04
v 日本で活躍する中国人・陳建中(下) 2007-07-31 17:02:45
v 日本で活躍する中国人・陳建中(上) 2007-07-19 22:07:11
  • 今日のトップニュース
  • 今日の国内ニュース
  • 今日の国際ニュース

  • • 基礎中国語
     皆さんは、ここで中国語と日本語に耳を傾け、フラッシュによる動画を楽しみながら、中国の風習や伝統文化を思う存分味わうことができます……

    • 「北京ワクワク」の購入について
     中国語講座「北京ワクワク」(上巻と下巻)のテキストは、日本の皆さんが初めて中国語会話を学習するための入門編です……
    |  link  |  E-メール  |