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『約束の夏』で日中の仲立ちを
   2007-02-01 12:00:17    cri

日本の皆さんから中国語の合唱「海よ故郷」

記念会で挨拶する劉徳友氏

葫芦島引揚者の証言、中国で翻訳出版

 戦時中、中国の東北地方に滞留していた日本人居留民の引き揚げ60周年を迎え、8歳の時の引き揚げ体験を描いた児童文学者・若松みき江さん(69歳、北海道江別市在住)の自伝小説『約束の夏』が、中国で翻訳出版されました。

 若松さんは千葉県の生まれで、3歳の時に家族とともに中国の東北地方に移住しました。1945年、父親が軍隊に徴集され、8歳の若松さんは6歳・4歳・2歳の弟・妹と一緒に、母親に連れられて引揚の大群に入りました。しかし、栄養失調や食糧不足のため、2歳の弟をやむを得ず中国人夫婦に引き取ってもらうことになりました。そのとき、若松さんのお母さんは「どんなことがあっても尋ねない、親として名乗りを上げない」、と中国人夫婦に約束したのです。

 この本は自費出版された後、自費出版文化賞などを受賞。それがきっかけに、北海道新聞出版社より再出版。昨年末、両国の有志の努力により、中国でも翻訳出版されました。『約束の夏』は、侵略戦争の残酷さについて、内部の視点から綴った貴重な記録で、中国対外文化交流協会の劉徳友副会長から、「血と涙で描いた真実の記録、日本人民の良心の本だ」と評価されています。

訳者李建華さん

若松みき江さん

 昨年末、北京市の中国人民対外友好協会で行われた出版記念会で、若松さん(以下敬称略)にお話を伺いました。

 記者 どのような思いでこの本を執筆されましたか。

 若松 私は日本人として、日本がかつて行った残虐な行為を中国の皆様にお詫び申し上げたいのと、あの苦難な時代に、命を救ってくださった中国の方たちに感謝を申し述べたいとずっと思ってきました。そこで、中国の方々に命を救われた8歳の私が、8歳の少女の目でそのまま書き残そう、それが一番いいのじゃないかと思いました。年月はかかりましたが、やっと出来上がったのが、この『約束の夏』という本です。

 記者 弟さんを中国人の夫婦に引き取ってもらったことは、若松さんご一家にとって、本当につらい決断だったようですね。

 若松 私たちの引揚団は300人で構成されていましたが、2週間にわたって歩きながら、当時の奉天に向かいました。到着した時、300人が150人になり、途中で子供がたくさん死んだということです。弟を中国のご夫婦が拾ってくださったことを、母は、どう感謝していいか分からないぐらい感謝しておりました。ひどいことをした国の子供を引き取って、親代わりになって大切に育って、教育していくということは、なかなかできることではありません。日本人でしたら、とてもできないのではないかと思います。中国にたくさん残された日本人の孤児が、こうして中国の方たちに助けていただきました。ありがとうございます!

 記者 中国人夫婦と交わした約束を、お母様は戦後になっても、守り続けていたようですね。

 若松 母は約束を守って、去年の夏に他界しました。この60年の間に、母は子供を忘れていたのではなく、ずっと心病んでいました。子供を思って、絶えず泣きました。母は私にどんなことがあっても、中国の方たちとの約束を守るから、私には弟を探すなと言いました。私はこれを母の遺言だと思って、守っていこうと思っています。

 日本という国があのような身勝手な戦争さえしなかったら、こういうことにはならなかったのではないかと思います。戦争は絶対反対です。中国の方がこうして日本人を許してくださって、私たちを助けてくださって、その心の広さ、人間の幅の大きさに心から敬服しています。

 記者 この本にどのような思いを託していますか?

 若松 今の日本は、60数年前のあの戦争を知らない戦後生まれが、人口の半分以上になりました。学校では、大学受験に出ないからと言って、現代史をほとんど教えていません。若い人たちが、日本が中国、朝鮮半島を侵略したという事実を知らないで育っているのは、とても残念です。この本がそういう彼らに少しでも事実を知ってもらうのに役に立ったらいいと願っています。

 中国と日本との間には、様々な問題がありましたが、一人一人の小さな出会いから言葉を交わしあい、理解し、認め合っていけば、とても良い関係が育つのではないか、という希望を私は持っています。この本がその仲立ちをしてくれたらいいなと思います。(取材:王小燕)

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