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関係改善は"相手の考えを知る"ことからーー熊谷伸一郎さん
   2006-08-23 10:22:43    cri
 1976年生まれ 月刊「自然と人間」編集長 季刊「中帰連」編集長。著書に坂本龍一氏らとの共著「非戦」』(幻冬舎)。「なぜ加害を語るのか」(岩波書店)

 この「夢追人」の連載を書いているのは、日中メディア研究会(長久会)というグループで、2002年、「100人@日中新世代」という著書を中央公論新社から出版した。今月、この本を担当した編集者から1冊の本を贈られた。100人に登場した熊谷伸一郎さんの新著「『反日』とは何か」。4年前、我々が熊谷さんについて執筆した原稿がこの本が出版されるきっかけになったという。感慨深く、早速拝読させてもらった。

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 熊谷伸一郎さんは、出版社に勤務する傍ら、「撫順の奇蹟を受け継ぐ会」という組織の事務局長を務めている。中国東北部の撫順はかつて日本軍の捕虜969名が収容された地。撫順戦犯管理所で戦犯たちは、中国側から人道的な待遇で扱われ、本来であれば死刑も当然のところを不起訴・釈放となり、母国、日本の地を踏んだ。帰国した元軍人たちは翌年「中国帰還者連絡会(中帰連)」を発足。彼らは自分たちが戦場で行った加害行為を語ることで不戦を訴える活動を続けてきた。

 2000年、23歳の熊谷さんはこの「中帰連」の存在を知り、その活動に加わるようなる。夏にはバイクにテントを積んで北海道へ、冬には車で九州などに足を運び居今も証言の記録を続けている。

 その熊谷さんが最近新たにインタビューを行うことになったのが、所謂"反日"と呼ばれる中国人活動家たちだ。去年の春、中国各地で反日デモが起こり、日本ではデモの衝撃的な映像が日々メディアで紹介された。日本では「反日教育の結果」であるなどとの論評が数多く出たが、当事者が何に対し憤り、何を主張しているのか、十分に伝えられることはなかった。新聞やテレビではその声はセンセーショナルでインパクトのある一部しか紹介されない。歴史という文脈を無視した状態で、日本を憎む中国人像のみをクローズアップしたことで、日本の嫌中意識は煽られることになった。

 こうした中、熊谷さんは彼らの声に真摯な姿勢で耳を傾けようと中国に赴く。ロングインタビューをそのまま掲載することで、彼らは実際には"反日"なのではなく、むしろ日中関係の改善をのぞんでいること、右翼化した軍国主義の日本人に対し抗議はしているが、普通の日本の市民との交流を歓迎していることが伝わってくる。彼らはエキセントリックな主張をしているのではなく、理にかなった正論を冷静に述べていることも理解できる。さらに活動家たちは気心を許した熊谷さんに日本のホンダのバイクに憧れていることなどもおしゃべりし、ごく普通の若者の素顔も見せている。

 まずはとことん相手の考えを聞く。そして語り合う。そこから信頼が生まれ、関係が成立していく。「『反日』とは何か」ーー、そんな当たり前のことの大切さを再確認させてくれる1冊である。

夢追人
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