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日本で活躍する中国人・楊克倹
   2006-06-02 14:08:02    cri
 在日中国科学技術者連盟会長・楊克倹さん

 在日の青年科学技術者たちが集まって、日中間の架け橋になりたいと13年前に創設された「在日中国科学技術者連盟」。経済情勢が変化するなか、その役割は、科学技術分野での2カ国間交流から、日中投資支援へと変化してきている。会長の楊 克倹さんにその活動について聞いてみた。

 取材に当たったのは、張国清・北京放送東京支局長です。この取材記事は東方通信社発行の週間雑誌「コロンブス」2006年2月号に掲載されています。

 「在日の青年科学技術者が日中の架け橋を目指す」

 張:まず、在日中国科学技術者連盟とはどんな組織なのか、どのようないきさつで創設されたのかをお聞かせください。

 楊 :発足は13年前です。元中国人留学生で、卒業後、科学技術分野で働いている人たちが集まって、日中の架け橋になるような団体を設立しようとしたのです。創設メンバーたちは、国費留学生だったり、来日前、中国で大学講師や国有企業の管理職を務めていたりと、ほとんどの人が博士号の取得者でした。当時、大学の助手をしていた人が、今では有名な大学教授になっている話もたくさんあります。連盟の目的は「3つの架け橋」です。「中日間の架け橋」、「在日中国人と日本社会との架け橋」そして「在日中国人間の架け橋」です。メンバーたちは「科学者の交流を通じて中国と日本のために役立ちたい」という意欲に燃えていました。

 張:楊さんはいつ頃から来日し、在日中国科学技術者連盟の活動に参加したのですか。

 楊:私は92年に来日しました。中国では大学院(修士課程)修了後、大連工科大学で8年ぐらい教えていました。日本の文部省から奨学金がおりたのをキッカケに来日し、東北大学博士課程に入学し、「構造建造学」を専攻したのです。最初の半年間は研究生として、その後、正式に博士課程に進んで、博士号を取得しました。修了後、「構造計画研究所」に就職が決まったので、96年に上京しました。連盟との関わりはそれからです。東北大学在学中は中国人留学生で組織する「学友会」の会長をしていましたから、すぐに「連盟の理事になりませんか」という声がかかってきました。そして3年前の選挙で私が会長に選ばれたのです。

 張:在日中国科学技術者連盟の活動の経緯をお聞かせください。

 楊:創設した当初は、日中の科学分野の研究者たちとの情報交換や交流が主な活動でした。中国の学者を招聘して研究報告会を開催したり、日本の技術者に、最先端の技術についての講演をお願いしたりしていました。また、日常的には、各会員が、15の分科会(機械分野、技術、法律、IP、土木建築、バイオ、生物など)にわかれて、勉強会や報告会などを続けてきました。最初の大きなイベントとなったのは、95年の「中日青年学者の国際シンポジウム」です。中国から46人の科学者が来日し、日本の科学者たちと意見交換しました。当時、私はまだ仙台にいたのですが、これを聞いたときはたいへん感動しました。96年から97年にかけては、在日中国人経営者が急増し、連盟も技術者だけではなく、経営者との交流の場を設定するようになりました。サロンスタイルの分科会をアレンジしたり、IT関連の企業も多かったので、ITの分科会を新設しました。97年の「アジア通貨危機」の際は、日本の経済学者を招いて緊急研究会を開催したり、アジア以外の視点で通貨危機をみることも必要だと考えて、米国大使館商務参事官に講演を依頼しました。

 「中国企業の日本への投資で 日中間の経済交流を活性化」

 張:時代の変化に合わせて活動内容も変わってきたということがよくわかりした。では、楊さんが会長になってからは、どのように連盟を主導してきたのですか。

 楊:いざ、会長になってみると、改革しなければならないことが多いことに気づきました。そこで、最初の理事会で思いきって方針転換したのです。それまでの連盟のスタンスは「日本でビジネスチャンスをつくって、中国の利益を生み出す」というものでしたが、今後の連盟は「日本の発展のためになることを考えて活動すべきだ」と提案したのです。もちろん、反論もありましたが「日本で貢献できないと中国でも評価されない」と理事たちを説得しました。

 張:方針転換を決意されたのにはどのような理由があったのですか。日本と中国をとりまく経済情勢が変わったのも背景にはあるのでしょうか。

 楊:そういう面もあると思います。私も以前は、日本企業の中国への投資を手伝うことが連盟の役割だと考えていました。ですが、最近では、中国企業のなかにも日本に投資したいというニーズが増えているので、中国の大手企業と日本の大手企業のタイアップをコーディネートするなどして、日中間の交流に貢献したいと考えています。どこまでできるかわかりませんが、これは日本社会にいる在日中国人だからこそ、できることだと考えています。

 張:具体的にはどのような活動になるのでしょうか。

 楊:04年と05年に、川崎市の協力を得て「東京論壇」というフォーラムを開催しています。中国から政府関係者や瀋陽市など地方政府の関係者を招聘し、両国の中小企業経営者、元留学生の起業家、ベンチャ?キャピタルなどが約500人が参加しました。科学技術交流だけでなく、日本側、中国側にとっても、投資の機会となればと思って開催したのです。そのほか、日本から中国に視察団を派遣したり、逆に中国からの受け入れも行っています。日本企業や自治体を中国に紹介することもあります。連盟は中国政府の各機関との関係づくりに努めてきましたから、その存在が認められているのです。

 張:在日中国科学技術者連盟の役割は科学技術者の交流から、両国間の経営、ビジネスの架け橋としての役割に変わってきているのですね。ところで、今、連盟にとってもっとも大きな課題となっているのはどんなことですか。

 楊:構成員が創設当時とだいぶ変わってきました。ですから、会員間のコミュニケーションをうまくとり、とくに若い世代の人を組織にどう取り込むかが最大の課題になります。やはり世代間の考え方の違いに戸惑うことが多いわけです。私たちは文革から改革開放を経験してきたので、自分のことよりも国のために貢献したいという気持ちが強い。ですが、最近の20歳代はビジネスが中心で、自分の利益にならないことはやりたがりません。それでも彼らに興味をもってもらうには、魅力あるイベントを開催することだと思っています。一時、会員が激減したので、会費制を廃止して、イベント毎の寄付で運営するように会則を変更しました。今は、会員数も1300人に回復し、さらに拡大しています。今後は、スポーツ大会など、遊びの部分も取り入れてやっていきたいですね。

 張:これからのご活躍にも期待しています。本日はどうもありがとうございました。

kokusei
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