4月、日本の「桜友誼林保存協会」という民間団体が中国を訪問し、一行141人が無錫・昆明・上海をまわりました。
「友誼林」とは、「友好の林」という意味です。「桜友誼林保存協会」は、両国の友情を願い、中国で桜の木を植える活動をしている団体です。この会は、三重県出身の長谷川清己さんという方が中心となって設立されたものです。長谷川さんは現在83歳。中国侵略戦争に参加した経験から、両国の友好のために何かしたいと考えていました。
「戦場でいろいろ体験しました。戦争が終わって平和になり、何か恩返しがしたかったのです。何かいい方法はないか、
訪中するたびに考えていました。国際平和年の1986年、上海から中国人の方が7名いらっしゃいました。桜の花を、毎日楽しみに見ていらっしゃいました。それで思いつきました」と、長谷川さんは振り返ります。
中日友好のために、中国に桜を植えたい。長谷川さんは1988年、無錫で桜を植える活動を始めます。無錫には、3年かけて、1500本の桜が植えられました。敷地には記念碑も建てられ、友好を祈念する林、いわゆる「友誼林」が完成したのです。その後も、協会は毎年桜の季節に代表団を派遣し、桜を植える活動を続けています。
桜は日本人にとっては特別な花ですが、中国人にも人気のある花です。最近では、桜の季節にお花見をする習慣も見られます。桜には誰からも愛される魅力があります。長谷川さんも、友好の願いを表すのに、桜はピッタリの花だと考えています。
桜を植える活動を始めた長谷川さんですが、いろいろな苦労もあったようです。手続き上のトラブルで、桜の苗
木を中国に持ち込めなかったり、桜の苗木を購入するため資金調達に奔走したり。しかし、「桜友誼林保存協会」の植樹
活動は今年で19回目を迎え、今では中国各地に1万本以上の桜の木が植えられています。
特に、上海の近くにある無錫の街には、25種類、8000本の桜が植えられています。春になると一面に桜が咲きますが、その光景は「桜の海」ともたとえられているそうです。
この20年で、協会の活動に賛同してくれる人々もずいぶん増えたそうです。桜の苗木を買うための寄付をしてくれる人も多く、毎年行われる植樹ツアーには参加希望者が後を絶ちません。
「桜友誼林保存協会」ホームページ http://sakura-u.com
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