今月8日、北京市内で北海道大学北京オフィスの開所式が行われ、北海道大学の中村睦男学長をはじめ、多くの関係者が駆けつけました。北海道大学は、日本の国立大学のひとつで、「少年よ、大志を抱け」という言葉で有名なクラーク博士ゆかりの大学です。
開所式の中で、中村睦男総長は大学の基本情況について、「学部数は12。これは日本で最も多い数となっています。それから16の大学院研究科などがあり、ほとんどの学問分野を網羅しています。北海道大学の前身である札幌農学校は今から130年前に創立されております。その伝統を受け継ぎ、農学や水産学をはじめ、最先端のナノテクノロジーやバイオの研究を行っております。さらに人文社会系、文科系をも有する総合大学であります。札幌の中心部にキャンパスがあり、200ヘクタールの敷地面積を誇っています。北海道大学は世界で最も美しいキャンパスを持っていると思っています」と述べました。
北海道大学が最近力を入れているのが、国際交流です。現在、北海道大学は23カ国139の大学と交流協定を結び、共同研究を行ったり、研究者や学生間で交流活動を行ったりしています。もちろん中国の大学とも提携しています。これについて、岸浪健史副学長は「北海道大学は、近隣諸国の大学との連携を強化することにより、国際的連携を重視する研究・指導型大学を目指しています。特に北東アジアの中心である中国との連携を重視し、北京科技大学、浙江大学、清華大学、復旦大学、吉林大学、北京大学と大学間交流協定を締結しています」と語りました。
毎年日本へ行く中国人留学生は多いですが、北海道大学で学ぶ学生も多いです。現在、北海道大学には840人の外国人留学生がいますが、そのうちの37%、309人が中国人だとのことです。今回、北京市内に北京オフィスができたことで、中国人留学生の数がもっと増えることが期待されます。今まで、中国から日本に留学しようと思ったら、国家や大学から派遣される公費留学が基本でした。最近は私費留学生も増えていますが、仲介会社を通じて手続きをするとか、日本の大学の教授に連絡を取り、その教授に推薦してもらうとか、誰かに
間に入ってもらわないといけません。これは、学生にとって非常に面倒なことです。それが、北京オフィスができたことで、北海道大学へ留学したい中国の学生は、気軽に詳しい情報を得ることができるようになりました。オフィスを通じて簡単に留学手続きを行うこともできますから、便利になります。
今回の北京オフィス完成について、中村睦男総長は「北京オフィスは、北海道大学が中国に開いた国際交流の窓であり、この窓を通して、中国各界とのより緊密な連携を築くことを目的としております。北京オフィス設置の目的は学生交流、研究交流、産学連携及び同窓会の活動支援です。優秀な学生を受け入れ、学生及び卒業生が両国の将来の学問的・経済的・政治的協力関係をいっそう緊密にしてくれることを願います」と述べました。
この北京オフィスは留学生の受け入れだけではなく、国際交流の窓口という重要な役割も担うことになります。北海道大学だけでなく、現在北京には、すでに20以上の日本の大学がオフィスを開設しています。それぞれが、両国の研究交流のためにさまざまな努力をしているようです。北海道大学北京オフィスの鈴木賢所長は「特に若い人の交流は、両国の今後の友好・平和にとって非常に大事だと思います。そういう意味では、この大学間の交流を深めるのは、国と国との間の関係にとって非常に重要なことだと思います」と期待を語りました。
大学は、将来を担う若者を育てる場所です。こうした大学間の交流は、両国の交流において重要な意味を持っています。これに対し、開所式に参加していた中国駐在日本大使館の神田忠雄さんは「中国の古典で、『一年先を見る人は花を植え、十年先を見る人は木を植え、百年先を見る人は人を育てる』という言葉を聞いたことがあります。そういう意味で大学は非常に大きい役割を持っていることを私は思っています。教育や科学技術、学術の面で交流が発展していくことは、日本、中国それぞれにとって非常に有意義なことだと思います。」と強調しました。
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