中国国際放送局の記者から「沈潔さん、ぜひご自身のことについて何が書いてぐださい」といわれたことがあって。その後。何回も催促されました。記者の厚意を裏切りたくはないが、自分で自分のことを書くのは。何らかの抵抗があるような。ちょうど、この前、雑誌 『アジアウェーブ』の記者のインタビューを受けたことがあり、私のアジア社会福祉への思いを生き生きと記載してくれました。
より多くの人々がアジア型社会福祉の構築にかかわっていくように呼びかけたいと思い、このインタビューの記録を借りて、本書に掲載してもらうことにしました。
私たちは 「中国は社会主義の国だから、社会保障の必要性がない」という教育を受けた世代なんです。ところが改革解放後に初めて社会保障の授業を持たされ、社会保障はどういう学問なのか疑問をもちながら教えてきました。それで海外の社会福祉とか社会保障を勉強しようという気持ちになり、1989年に来日しました。
日本では福祉学の泰斗である?番ケ瀬康子氏に師事し、歴史を重んずる学風から、旧植民地時代の満州の社会事業を研究テーマに選び、その論文は『「満州国」社会事業史」』という?冊の本となりました。この非常にスリリングな研究の道程を経て現在は国際福祉ということを考えています。
国の壁がだんだん薄くなっている今、これからの福祉は日本の福祉、中国の福祉、韓国の福祉というような国ごとの福祉だけではなく、国を超え地域全体の福祉を考えていかなければなりません。近年環太平洋の地域の経済がだんだん統合しつつあり、経済的基盤が出来れば次は必ず社会保障とか福祉を整備しなければならなくなります。これからのアジア地域の福祉を作るとき、どのようなルールが必要か、どのような理念が必要か、そういうことを考えていく必要があります。かつての日本の 「大東亜共栄圏」は、日本が 「覇王」であると考え。日本の利益だけで考えたブランを作って強制し、それで被支配民族の抵抗を買いました。これからのアジアの福祉モデルはみんなで一緒に活動しながら?緒に考えていく。共存共生の環境を一緒に考えて?緒に作る。対等な立場でお互いの意見を尊重しるうことが原則です。
アジア型社会福祉への追求(二)
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