どうも皆さんこんにちは。黒龍江省・大慶市体育運動学校に派遣中の柔道隊員です。大慶は油田で有名ですが、他には何も無いひなびた町です。ここで暮らして、早10カ月が過ぎました。今回はこの10カ月間で一番辛かった「水」にまつわる思い出を紹介します。
僕は体育学校の生徒用宿舎に住んでいます。生徒と寝起きや飯を共にし、風呂や洗濯、テレビまで一緒に見る合宿のような暮らしです。学生と異なるのは、1人部屋をもらっていることと、授業に出なくて良いことぐらいです。
ここでの暮らしでとにかく困ったのが「水」です。大慶市は元々沼地で水は豊富なはずなのに、学校の宿舎だけ水が出ません。水圧が上がった時に出た水を瓶にためて、トイレの排泄物を流したり、洗顔に使ったりしています。夏は比較的水圧が高く、1日の半分以上は水が出ますが、冬は悲惨を極めます。何と24日間、一滴も水が出ないことがありました。水が出ないと非常に恐ろしいことになります。トイレの排泄物を流せない、でも生徒は用を足す……。この時はハエが大量発生し、仲良く一緒に暮らすはめになりました。
次に頭を抱えたのが風呂です。僕は生徒たちと一緒に校内の共同浴場に入り、洗濯も風呂で手洗いしています。生徒たちと裸の付き合いを重ねるうちに、最初は遠慮がちだった生徒たちもすっかり図々しくなり、今では僕のシャンプーや石鹸、タオルを気兼ねなく使っています。気分よく風呂からあがり、体を拭こうとすると、すでにタオルがぐっしょり、ひんやりということがしばしば。
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黒龍江省・大慶市体育運動学校;柔道隊員 | 温厚な僕もさすがに切れて、「拭いてもいいけど、俺の後にしろ!」と叫んでしまいました。また、零下30度の厳冬期に突然、風呂の湯が冷水に変わることもあります。「お湯が出ないよ」と大慌てで叫ぶと、風呂場のおじさんは何食わぬ顔で「お湯は終わりだよ」。覚悟を決めて、シャンプー中の頭を冷水ですすいだことが何度もありました。ちなみに、つい先日まで3カ月間風呂が使えませんでした。ただでさえ汗をかく夏場に、スポーツ選手が風呂に入れないなんて、これほど悲惨なものはありません。泣く泣く、洗面所にためた瓶の水で生徒と一緒に水浴びしました。しかし、9月初旬の大慶は日本の晩秋にあたります。地下水は骨まで凍み、生徒と気合をかけ合いながら浴びたのは辛かったなあ……。
こんな悲惨な僕たちですが、今年の黒龍江省の柔道大会では見事優勝。現在は来年開かれる通称「黒龍江のオリンピック」(4年に1度開催)での優勝目指して特訓中です。
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