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ダン・ブラウンのヒットは、中国ミステリーブームを作り出した |
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今年上半期、売れに売れた台湾タレントの美容指南本 | 外国でのベストセラーの記録を引っさげて売り込む作戦で、その多くにオビがつき、数十万部、数百万部の販売実績や、欧米の高級紙で絶賛といった文句が踊る。
版権獲得も、翻訳するスピードも年々速くなっていて、米国で話題となった本は、日本で翻訳出版される時間の2分の1、あるいは3分の1で、そう瞬く間にという表現がぴったりなぐらいに店頭に並ぶのである。前出の『ダ・ヴィンチ・コード』しかり、昨年のヒラリー・クリントンの自伝『リビング・ヒストリー』しかり、だ。
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台湾の人気作家、王文華は上海でも大人気 |
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日本で話題となった『電車男』も瞬く間に上海の店頭に | だから日本のものも、村上春樹や渡辺淳一(かなり、人気あり)はもちろんのこと、大ベストセラーとなり映画やテレビもヒットした『世界の中心で、愛をさけぶ』や、中国の若者たちに理解してもらえるのだろうかと少々不安も残るのだが『電車男』なども、そうタイムラグもなく上海の書店にお目見えしているのである。
ダン・ブラウンのヒットは、中国のミステリーブームの底上げにもつながった。ブラウン本ヒットに刺激されて、1本の本の奇妙な携帯ショートメールから始まる蔡駿著『地獄的第19層』や、少女が12名の女子大学生の不可解な死亡の真相を探っていく鬼古女著『碎臉』がミステリーファンを楽しませている。『碎臉』と言えば初出はネット上で、数週間でヒット数が百万件を超えたという人気の作品。姜戎の長編小説『狼図騰』もポータルサイト『新浪網』と『北京娯楽信報』に連載されたもので、ネット発は売れ筋本の一翼を担うようになっている。
暴露本も含めたタレント本や名物記者、カメラマンなどのメディアを賑わす有名人本もベストテンの常連だ。特に、台湾出身の人気タレント、徐熙媛による美容指南本『美容大王』は売れに売れた。文字の羅列が主流だったダイエットなどノウハウ本がこれで一気にビジュアル化の道へ突き進みそうな勢いだ。
こう見ていくと、作家が構想をあたため執筆に心血を注いで紡がれた作品というのは、新境地を開いたと絶賛されている王安憶著『遍地梟雄』など数点。中国の編集者たちもかつてと違い、「売れる本」を作らねばならない時代になり、販売が見込める翻訳ものや手軽なタレント本に走る気持ちは分からなくもないが、寂しさもぬぐえない。
「人民中国」より 文・写真/須藤みか
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