中国が世界を今日ほど意識している時代はないでしょう。中国は目下、「節約型社会」の建設を提唱しています。中国に「流行語大賞」があるとしたら、今年は「節約型社会」がその最有力候補となるのはまず間違いないといえます。この「節約型社会」の建設という姿勢には、世界に向けての中国のメッセージが込められていると思います。
「節約型社会」とは、温家宝総理の言葉を借りれば、「以人為本(人間本位)と科学的発展観を打ち立て、資源の節約を第1に、経済成長方式の根本的転換の実現を軸にして、省エネ、節水、原材料土地節約と資源の総合利用および循環型経済の発展を重点に、節約型成長方式と消費モデルを構築し、経済・社会の持続可能な発展が図れる社会」となります。
改革・開放の成長路線をひた走って来た中国は、豊かさを蓄積し、世界経済に大きく貢献してきました。同時に、格差の拡大や資源エネルギー問題、環境問題、元レート調整、繊維製品を中心とするダンピング問題など、成長に伴うマイナス要因や困難に直面しています。
「節約型社会」の建設は、GDP(成長)至上主義から生じつつあるリスク要因や困難をこれ以上増やすことなく、世界経済への貢献を維持すること、そのために、これまでとは違った経済発展モデル、すなわち、「人」と「環境」重視の発展モデルの構築を目指すという現政権の意思表示といえます。
ーー「人民中国」より
|