雲台山は、中国中部・河南省の焦作市修武県にあります。ユネスコの「世界地質公園」に認定されており、面積はおよそ200平方キロメートル。公園内はバスで移動することができます。
見どころのひとつは、紅石峡という渓谷です。その名の通り、赤い色の岩が特徴です。これについて、雲台山ガイドの路紫テイさんは、次のように説明しています。
「この岩には、大量の鉄やさまざなま鉱物が含まれています。時間とともに酸化して赤くなったのです。今は渓谷一面が真っ赤に見えるほどです」
公園の一番高いところに、石橋があります。この橋からは、紅石峡の美しい風景を眺めることができます。
紅石峡の岩の表面には、縞模様があることが分かります。今からおよそ14億年前、大地と水が織り成した地層の模様です。香港で観光業に携わる頼さんは、これまで中国の南方地域を多く旅してきました。しかし、河南省の風景を見るのは初めてだと言います。頼さんは雲台山の風景を次のように評価しています。
「雲台山の風景はとてもきれいですね!南方地域も美しいですが、このあたりの風景も、このあたりならではの美しさがあります。南方地域と違って山が多く、どこまでも連なっています。香港に帰ったら、お客様にも河南省をおすすめしたいと思っています」
公園の中央付近には崖があり、崖から白竜滝という滝が流れ落ちています。滝の周辺には小さな花々が咲き、美しい景観を形作っています。この花々について、ガイドの路さんは次のように話しています。
「ここに咲いているのは菊の花で、この地域で採れる有名な漢方のひとつです。この菊の花は崖や岩場など険しい環境に生息します。体を丈夫にし、体内にこもった熱を冷ますのに効果があるとされています」
この滝を過ぎると、気温が変わることに気づくでしょう。先ほど紹介した紅石峡は、最も幅の狭いところが2ー3メートル。外部から遮断された渓谷は、年中20度前後の気温を保っています。冬でも渓谷は緑に包まれ、地元では「常春の谷」と呼ばれています。
渓谷には洞窟があります。公園内で唯一の鍾乳洞で、ライトアップされ内部を観光することができます。洞窟の入り口には、鍾乳石が氷柱(つらら)のように上から垂れ下がっています。ガイドの路さんは、次のように紹介してくれました。
「この鍾乳石を、地元では『心を確かめる石』と呼んでいます。結婚前の男女はここに来て、互いの気持ちを確かめ合います。ウソをついたら、石の粉が落ちてくると言われています。これを信じるかどうかは、本人たち次第ですけどね」
公園内には、大小さまざまな滝が見られます。一番大きな滝は、首竜滝という滝です。この滝の写真を撮ろうと、連日多くの観光客が訪れます。上海から来た楊さんは、この滝を見て次のように評価しています。
「これまで全国各地を旅してきましたが、この地質公園は珍しい地形をしていますね。特に紅石峡は独特です。ほかの地域ではなかなか見られない風景ですね」
雲台山地質公園では、自然環境の保護にも取り組んでいます。焦作市観光局の趙衛星副局長によりますと、焦作市はもともと炭鉱の町でしたが、2003年からは観光の町へのイメージチェンジを図っているそうです。山や湖など自然資源を保護しながら、観光開発を進めています。趙副局長の話です。
「昔は、山を掘って、石などを売り出しました。観光都市を作るという方向に変わってから、炭坑などを埋め、その上で植物を植えたりして、環境を取り戻すため、いろいろな措置を取っています。数年間の努力をへて、その効果が徐々に現れています」(担当:任春生)
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