中国中部に位置する河南省の信陽市は、「北方の南国」と呼ばれています。山々や水辺の風景が美しく、気候も快適です。また、千年の歴史を持つ名刹「霊山寺」や、避暑地として知られる「鶏公山」もあります。さらに有名なのが、ここで採れる「信陽毛尖」というお茶です。

　信陽市は、中国の北方地域と南方地域の交わるところに位置し、湿気が多く、山々には植物が生い茂っています。信陽市羅山県の西南部40キロのところに、千年の歴史を持つ寺「霊山寺」があります。「霊山寺」には井戸があり、ここの水は甘くて美味しいことで知られています。また、境内にある樹齢千年の柏の木も有名です。青く澄んだ湖と空。ここを訪れる観光客は、その美しい風景に心打たれると言います。北京からの観光客・安立紅さんは、このように語ってくれました。

　「このあたりはまるで、南国にいるような雰囲気がしますね。風景が非常に美しく、環境保護対策もきちんと行われています。山に登った際、渓流に魚や蟹などを見つけました。水がきれいで、思わず服を脱いで泳ぎたくなりました。自然に溶け込んでいくような感じがします」

　この「霊山寺」には、宋や明の時代の皇帝たちが訪れています。明の初代皇帝・朱元璋は、「霊山寺」に「国寺」という称号を授けました。これについて、霊山寺風景観光開発株式会社の桂俊峰さんは、次のように語りました。

　「霊山寺は1500年の歴史があり、仏教が中国に伝わってきた当初に建立された寺院のひとつです。明の初代皇帝・朱元璋は若いころ、この寺院で出家しました。皇帝となってからも、3回ほどここを訪れています」

　旧暦3月1日、「霊山寺」では縁日が行われます。この日は門前町に多くの人が訪れます。ピーク時には、１日で数万人がやってくるといいます。

　さて、「霊山寺」の次にご紹介するのは、「鶏公山」です。「鶏公山」は河南省信陽市の東南部にある、有名な避暑地です。海抜７００メートルの最高峰は、その形が雄鶏の頭によく似ており、「鶏公山」の名前の由来となりました。

　「鶏公山」には1200種類の植物が自生しており、四季の変化がはっきりしているため、季節ごとに美しい景色を楽しむことができます。特に夏は、山中は涼しく快適です。

　このほか信陽市には、杭州の西湖より12倍大きな湖「南湾湖」があります。「南湾湖」は、信陽市の西南5キロのところにあります。湖の面積は75平方キロメートルで、61の小島が点在しています。小島には鳥たちの姿が見られます。毎年10数万羽の渡り鳥がここにやってきて繁殖活動を行います。このほかにも千種類以上の動物が生息しており、中には、貴重なサルや揚子江ワニなどもいます。観光客の張キさん次のように感想を話しました。

　「船で南湾湖にやってきました。島が多いんですね。風景が非常に美しいので、旅行好きな人は絶対に来なければいけない場所だと思います」

　風景のほかにも、信陽市には有名なものがあります。「信陽毛尖」という緑茶です。信陽市は日照量が大きく雨も多いため、茶の生育には非常に適しています。その昔、「信陽毛尖」は皇室で使用された緑茶のひとつでした。近年では、1951年にパナマ万博で金賞を獲得しています。専門家によりますと、このお茶は血圧やコレステロールの値を下げる効果があり、長期的に飲用すると、免疫力が高まるとされています。

　信陽市では1992年から「茶文化祭り」が行われます。毎年４月末、祭りの時期には各地から多くのビジネスマンや観光客が訪れます。この祭りに出展しているという貿易会社の社長・曾静さんはこう話しています。

　「カナダのビジネスマンが、弊社が取り扱っている『信陽毛尖』に興味を示し、総額10万元以上購入してくれました。今後も、買い付けたいと言ってくれています」

　現在、「信陽毛尖」というブランド茶は、生産から販売まですべてがライン化され、高品質が保証されています。「信陽毛尖」を購入した湖北省の陳さんはこう話しています。

　「信陽毛尖は有名なお茶で、色や香りもよく、お茶を入れるのが楽しみになるほどです。毎年、この祭りに来ます。お茶をいっぱい買って帰って、親戚や友達に配っています」

　山と湖の美しい風景が楽しめるほか、銘茶「信陽毛尖」を味わうことができる信陽市。日本の皆さんも信陽市を訪れたら、ぜひこの美味しいお茶を召し上がってください。