寧夏ホイ族自治区は中国西北部にあります。中心都市・銀川市から南へ車でおよそ30分。緑いっぱいの農園の中に、馬秀花さん夫婦が経営している農家レストランがあります。
お客さんが来ると、馬さんは、ホイ族風のお茶でもてなしてくれます。お茶請けは、ホイ族の軽食「油香」です。「油香」は、小麦粉をこねて細く伸ばし、何本かをよりあわせたものを油で揚げて作ります。
30分後、馬さんがテーブルに料理を並べはじめました。この店の看板料理はとても美味しそうです。店の料理について、馬さんは次のように紹介してくれました。
「このレストランの自慢は、ホイ族のお茶と『油香』です。お客さんからも好評ですよ。料理も美味しいです。常連客も多いですね」
農家レストランは、ここ数年、中国各地で流行しています。田舎の生活を体験しながら自然の中で心身ともにリラックスできるとあって、都市部の人々が多く訪れます。
馬秀花さん夫婦は、銀川市興慶区の農民です。農業のかたわら、1994年に地元政府の勧めで魚の養殖を始めたのですが、養殖に関する知識が乏しかったため事業に失敗し、投資した3万元も水の泡になってしまいました。その後、ご主人の王さんは都市部に出稼ぎに行き、10年間働き続けました。出稼ぎ生活の中で視野を広げた王さんが村に帰ると、村の農民たちが農家レストランを次々開業させていました。王さんはこれを見て、「自分も挑戦してみたい」と研修会に参加しました。王さんは次のように話しています。
「農家レストランはいい商売だと思いました。村の研究会に参加したり、山東省などほかの地域の農家レストランを見学させてもらったりして、いろいろ勉強しましたよ。農家レストランはきっと儲かる!そう思って、この店を立ち上げたんです」
農家レストランを開業することについては、妻の馬秀花さんも賛成でした。馬さんは次のように話しています。
「主人と一緒に、あちこちの農家レストランを見学させてもらいました。この村は空気がきれいだし、野菜も新鮮。ここにレストランを作れば、お客さんたちに喜んでもらえると思いました」
かつて魚の養殖で失敗した王さんは、今回十分な準備を行いました。村の調理師育成クラスに参加するなど、修行を重ねたのです。王さんは次のように語っています。
「もともと料理はできましたが、育成クラスに入ってメニューの多さにビックリしましたよ。クラスで学んだ料理を、今度は家で練習し、自分なりに新しいメニューを開発しました。育成クラスで修行したことで自信がつきました」
2007年、馬さん夫妻はついに農家レストランをオープンしました。美味しい料理を提供するほか、庭には田舎風のテーブルといすを並べ、カラオケ設備やビリヤード台も用意しました。また、魚釣りも楽しめます。客の呉さんは次のように話しています。
「何回も通っています。週末には友達や同僚を誘って来ています。釣りたての魚を焼いて食べられるのがいいですね。田舎風料理が食べられますし、自然の中はリラックスできます」
週末になると、レストランには都市部の人々が多く詰めかけます。王さんによると、この店を始めたおかげで月収が1000元を超え、年末には自家用車を買う計画もあるそうです。王さんは今の生活に満足しています。
「昔には考えられなかった生活を過ごしていますよ。村の居住環境も改善されています。うちの息子がつい最近結婚したんですが、息子が暮らしている家は都市部の家とさほど変わりません。毎日肉を食べられるようになり、逆に野菜が食べたくて仕方ないくらいです。今の生活に満足しています」
みなさんも、もしチャンスがあれば、王さんの農家レストランで美味しい料理を召し上がってください。(担当:任春生)
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