故宮は別名「紫禁城」と呼ばれる、皇帝たちが暮らした宮殿です。1406年、明の永楽帝の時代に建設が始まり、完成までに14年を要したと記録されています。なお、故宮の建設には10万人が動員され、使われた建築資材は数百万トンに及ぶと言われています。
故宮は南北960メートル、東西760メートル、周囲を高さ10メートルの城壁が囲んでいます。また、敷地を取り囲むように築かれた堀は、幅52メートルにも及びます。明・清の時代の歴代皇帝24人のほか、多くの皇族たちが暮らしており、敷地内には9000あまりの部屋があると言われています。その雄大さと荘厳さには、思わず圧倒されてしまいます。
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午門 | 故宮の魅力を満喫するためのお勧めコースをご紹介していきましょう。まず、故宮はご存知のとおり北京市の中心部にあります。地下鉄1号線「天安門東」駅が最寄り駅です。故宮には門がいくつかありますが、南側の「午門」から入場するのが一般的です。また、開門時間は毎日朝8時から午後5時までですが、比較的人が少ない朝早い時間帯がお勧めです。
入場してからの見学ルートですが、これについては故宮ガイド歴5年の張暁キンさんが次のルートを勧めてくれました。「見学時間が限られている観光客の方は、とりあえず南の午門から入って、北の神武門までまっすぐ歩きましょう。故宮の中心を南北に貫く中軸線上には、主な見所が集まっています。また、海外から観光にいらっしゃるお客さんの中には、西太后に興味を持っている方が多いように思います。西太后ゆかりの場所となるのが、敷地の西側にある西六宮(にしろくきゅう)です。西六宮には、西太后が暮らしていた儲秀宮や養心殿などがあります。時間に余裕があれば見学するとよいでしょう。」
南北たてまっすぐの中軸線ですが、この線上には権力の象徴とも言える「太和殿」「中和殿」「保和殿」という3つの大きな宮殿が並んでいます。この3つの宮殿はそれぞれ用途が違いますが、全国を統治する皇帝が政務を行っていた場所です。つまり、皇帝の仕事場です。
このほか、皇帝や皇后、妃たちが暮らしていた場所も見学することができます。有名なのは西太后の西六宮ですが、そのほかにも中軸線の左右に建築物が点在しています。中国の皇帝がどんな暮らしをしていたのか垣間見ることができます。時間があれば、いくつか見学されるのをお勧めします。
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御花園 |
あと、個人的にお勧めなのが「御花園」です。北門の神武門の近くにある、いわゆる中国庭園で、非常に美しいです。聞いた話によると、清の乾隆帝が江南地方を視察したとき、江南の美しい景色に魅了されて、江南スタイルの美しい庭園を故宮の中に再現してしまったのだそうです。皇帝の栄華が感じられる、非常に優雅な庭園です。故宮見学の締めくくりに、散策されるといいと思います。
北京五輪を迎えるために、故宮はいろいろな改築工事を行ってきました。今は改築工事も終わって、お色直した故宮を見ることができます。また、観光客へのサービスもよりパワーアップしているようです。故宮には、50人近いガイドが駐在しています。主に中国語と英語のガイドですが、日本語と韓国語のガイドも現在養成中で、オリンピック期間中には正式にサービスを開始できる見込みです。また、海外からの観光客へのサービスとして、レシーバーによる音声ガイドも導入しています。音声ガイドは40ヶ国の言葉に対応しています。
ガイドのほか、オリンピックボランティアも故宮に駐在しています。もちろん日本語のできるボランティアもいるそうですから、ぜひ利用してください。また、今回の改築工事では200万元をかけて、バリアフリー施設を完備したということで、車椅子での観光も便利になっています。
ユネスコの世界遺産のひとつであり、周囲にも見所がいっぱいです、北京を訪れたら、ぜひ故宮へお出かけください。
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